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【回避】



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子育てに活かせる!『ものの見方、考え方』 その73
【回避】
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今回も鷲津先生(名城大学心理学非常勤講師、(同)ベルコスモ・カウンセリング代表)に伺いました。


「今回は『回避』ということについてお話したいと思います」

------回避というと『逃げる』ということですか?

「それも入りますが、もう少し広い意味として『向き合わない』という感じで捉えてみたいと思うんですね。これって実はいろんな事に関係しているんです。例えば不登校がそうですね」

------学校に行くことを回避しているということですね。

「本人はそのつもりがなくてもね。それに、他の問題を回避していたら学校に行けなくなったとか、親が回避するタイプだったから知らぬ間にそれをモデリングしていたりとか、いろいろとこの『回避』ということが関係しているんです」

------親が回避するタイプですか。

「はい。もっともそれもいろんなパターンがあるんですね。親が問題に向き合わず先送りするタイプだったり、表面的には、例えば仕事なんかでは積極果敢に行くように見える父親なんだけど、家庭でき夫婦の話し合いや子どもとの付き合いを回避するタイプとか…」

------なるほど。

「他には『いじめ』問題にも回避ということが絡んでいます」

------これも親の回避ですか?

「そういう場合もあります。しかしまずはいじめというのは『いじめる人間』と『いじめられる人間』、そして『いじめる人間に付随する人間』、最後に『傍観者』という構造の場合が多いんですね。
そして『いじめる人間に付随する人間』と『傍観者』は回避が存在するケースが殆どなんです。学校で言うと、時には教師も問題を回避する場合もありますね」

------そうですね。
確かに、いじめに関しては向き合うことが大切と言いますが、いろんな所に回避というものがあるんでしょうね。

「そうですね。また最近は、回避の受け皿にスマホやゲーム、ネットというものがあり、それが今度は問題になっています」

------こうやってみると、回避って確かにすごく大きな問題なんですね。
「はい。そのとおりです。 さて、子育てにおいて一番厄介な問題である『回避』なんですが、これをどうすればよいのかと言うと、よくあるパターンとしては『勇気を持って向き合え』という叱咤激励ですよね」

------そうですね。先生も親もそう言うと思います。

「それ自体は確かに間違っていません。確かに勇気を持って向き合うにこしたことはないと思います。でもね、人間ってそんなに強くないんですよ。
それに、子どもに対して叱る場合は、【具体的に】が大事なんです」

------そう言われてみれば、『勇気を持って向き合え』って漠然としてますよね。

「そうなんです。だからそうやって叱咤激励するよりも、まずは具体的にどうやっていけばいいかを【説明】することが先なんですよ。それには、まずは回避したい問題を【観察】する必要があるんです」

------観察、ですか。

「はい。極端なことを言うと、例え逃げるなら逃げてもいいんです。
例えば、子どもが学校が嫌だから行きたくないと言ったとしますね。その際、いきなり『嫌なことから逃げるな!』と言っていても、かえってゴチャゴチャにこじれてしまって、問題は解決しない場合が多いんですよ。
そうじゃなくて、例えば先生との関係がうまくいかないとか、友達ができないとか、勉強についていけなくて恥ずかしいとか、行きたくなくなった状況を観察することが大切なんですね」

------観察した上で、学校を休むということですか?

「病気を考えてみるとわかりやすいかもしれませんね。大人でも不調の時に無理して仕事に行って、病気をこじらせて入院しなくてはならないってこともありますよね」

------なるほど。早めに休みを取ってお医者さんのところへ行って検査してもらえばよかったなんていう時がありますね。

「そういうことなんです。不登校や家庭内暴力を起こす子どもは、『良い子』と呼ばれていた子が多いというのは、ここに問題が隠されているんですよね。
反抗できずに問題をかかえたまま、一見『逃げないで』戦っているように見えるんだけど、隠された問題がどんどん大きくなっていくというパターンです。
まぁこの話になるとちょっといろんな問題に流れていきそうですので話を戻しますが、とにかく回避したい何かが出てきた時は、抑圧したり、見ないようにしたり、先送りしたりしたい気持ち、これは人間だから湧き出てくるのはしょうがないとして、でもなんとか観察できるようになってほしいんですね」

------今、ふと思ったんですけど、弱さを認めた上で、というところがポイントかもしれませんね。

「そのとおりだと思います。先ほど、スマホやゲームが回避の受け皿となっているとお話しましたよね。これが今、大問題になっているスマホ依存症にも繋がっているわけです」

------学校とか勉強とか嫌になって回避し、その先にゲームがあるという構図ですね。

「そうなんです。そしてこの回避先のゲームというのは、心理学的にも非常にうまく作られていて、嵌り出すとなかなか抜けられなくなっているんです。これはアルコール依存症やギャンブル依存症と一緒のパターンなんですね」

------こわいですね。

「本当にそうなんです。そしてこの抜け出せないパターンから垣間見えるのは、親がこの問題を回避して先送りする場合が多いということなんですよ」

------そのうち、やめてくれるだろうとか…。

「そうです。ところがゲーム会社は、その売り上げに企業の生死がかかっていますから、そう簡単に飽きられるようなものは作っていませんし、また飽きられる前に次から次へと嵌りやすい新しいものを作っていきますからね」

------そりゃそうですよね。

「そしてそうこうしているうちに、子どもは中毒になっていくんです」

------ということは、まずは親が回避して先送りなどしていないで、問題に向き合うことが大事ってことですね。

「そういうことです。例えば親が家でパソコンを娯楽に使っていたり、絶えずスマホを気にしているのに、子どもにスマホやゲームから抜け出して問題に向き合えと言うのはやっぱり無理が有ります。
お父さんも仕事でパソコンをやらざるを得ない場合はしょうがないとしても、それ以外は使わないぞという態度を示すのが先決でしょうね」



Copyright(c)2016 合同会社ベルコスモ・カンセリング
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