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【『ごほうび』と『やる気』】



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子育てに活かせる!『ものの見方、考え方』 その76
【『ごほうび』と『やる気』】
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今回も私たちNPOハート・コンシャスの理事でもある鷲津先生(名城大学心理学非常勤講師、(同)ベルコスモ・カウンセリング代表)に伺いました。


今回は『ごほうび』について、ちょっとお聞きしたいことがあるんです。

「はい。なんでしょう?」

------よく、行動療法やABA、応用行動分析学では『ほめる』とか『ごほうび』を与えることによって行動を変化させようって言いますよね。
ただここで、『ごほうび』で釣って何かをやらせても、『ごほうび』が無くなると結局は元の木阿弥になるんじゃないかっていう心配をされる親御さんが多いんんですけど。

「とってもいい質問ですね。確かにその可能性はあります。実はE・デシ博士とライアン博士がその研究に取り組み、
『人はいったん報酬を受け取り始めると、その活動への興味はかえって低下し、報酬を打ち切られるともはやその活動をしたいと思わなくなる』
という実験結果を発表したんです」

------えっ! じゃあお母さん方の心配は当たっているっていうことなんですか。

「半分は当たっています。ごほうびというのは外発的動機と言うのですが、プラスの面もマイナスの面もあるんですね。今お話したことはマイナスの面です。
例えばゲームなんかでも、報酬をあげると約束したケースと、何も報酬がないケースでは、報酬がないヒグループの方が報酬をあげると言われてやったグループよりも『おもしろかった』という率が高いんですよ」

------となると、つまりこういうことですね。
『勉強をやったらごほうびをあげる』と言われやった子のほうが、ごほうび無しで勉強した子よりも、勉強のおもしろさは少ない、と…。

「そういうことになりますね」

------え~っ、まずいじゃないですか。

「まずいと言えばまずいのですが、これは『ごほうびがなくても勉強する子』に対してはマイナスということなんですよ」

------あ、そうですね。
そもそも勉強しない子の場合は、マイナスも何もないですもんね。

「そういうことです。そして、基本的には人って『押し付けられた勉強は嫌い』なんですよ。これは子どもだけじゃなく…」

------ですよね~。

「これは、僕がよくカウンセリング講座や心理学講座に参加されている人達に言う言葉なんですけどね。
『勉強が好きな人なんて、ほんの一部なんですよ。こうやってわざわざ休みの日にお金を払って心理学を学ぼうなんていう意志のある人は、一般的じゃないんです。通知表で言えば5の人なんです。だから、その基準を子どもにもあてはめないでくださいね。普通っていうのは≪休みの日は遊ぶ≫なんですから』って」

------そうかもしれませんね。

「さて、話を戻しますが『ごほうび』というのは確かにマイナスの面もあります。しかしごほうびとかの外発的動機がないと、やる気にならないのもこれはこれで普通なんです。
だから、とりあえずはこのごほうびなどの外発的動機でスタートし、勢いがついたところで如何に内発的動機に変えていくかがポイントなんです」

------自分の内に『やる気』を持つということですね。

「ところが、それがなかなか難しいんです。内発的動機、やる気というのを自分で出せるようになる子なんて、ほんの僅かですから」

------優秀と世間で言われている子ですよね。

「そうなんです。よくこの内発的動機、やる気を自分で出せるようになるには、『達成感』が大事だと言われています。例えば何かにチャレンジして成し遂げたとかですね」

------クラブ活動で大会に優勝したとか、テストで何番以内に入ったとかですよね。

「はい。そうやって目標を達成すると、その達成感の慶びが自分の内発的動機になるということなんですね」

------なるほど。

「ところが、これってそもそも優秀な子ならいいんですけど」

------ですよね。
弱いクラブとか、成績が下位だったりすると…。

「まぁレベルが少し上がったとして、全く達成感が感じないわけではないでしょうが、モチベーションがそんなに上がらない場合も多いんです」

------じゃあ、世間で言うところの優秀な子じゃない場合でも有効な手ってないんでしょうか?

「いい質問です。あるんですよ、これが。しかも凄く強力なのが…」

------えっ!なんですか?

「お母さんやお父さんが喜ぶことなんです。例えば300人中280番の子が、ちょっと頑張って260番になったとしますね。その時に如何に喜べるかが勝負なんです」

------え? そんなことでいいんですか?

「そこなんです。ここで喜べる親って意外に少ないんですよ。逆に『そんなレベルで喜んでいたらダメ』って言う人は多いんですけどね」

------あ、そうかも。

「子どもにとっては、『親のうれしそうな顔を見る』っていうことは、結構大きな内発的動機に繋がるんですよ。嫌な勉強でも、親の喜んだ顔のイメージが心の中にあると、やる気が出るんです」

------なるほど。

「だから、例え少しでも子どもが何かをやって頑張った時とか、子どもが内心うれしい時に、いかに親が【一緒になって喜べるか】が大事なんですよね」

------そうなんですか。
勉強をやれやれとせかしたり怒ったりばかりしていないで、たまにとか偶然にやっている時にうれしそうな顔を見せたほうがずっといいってことですね。

「そういうことです。それに、そういうことを親が気を付けていると、子どもは自分が【人を喜ばすことができる】人間だというふうに、自分の存在に自信を持って育っていきます。是非、うれしそうな顔を見せてあげてください」

------はい。わかりました。

「あと、少し付け加えたいと思うのですが、『やる気』が出ない時ってどんな感じの時が多いでしょうね?」

------そりゃやっぱり、かったるいというかだるい時じゃないですか?

「ですよね。そういう時って動きたくないじゃないですか。でもね、この『動かない』っていうのが実は大きな問題なんですよ」

------え? 『動かない』って、体の問題ですよね。

「そうです。そうなんですけど、脳って体に影響されるんですよ。だから身体を動かすと、脳も動き出すことが多いんです」

------ということは、かったるくてやる気が出ない時でも、『えいやっ!』って体を動かしたら脳が動き出してやる気が出ることもあるってことですか?

「大いにあります。脳が動き出し、何かを始めたら、あとは勢いがついてグングン進んでいくことだっていくらでもあるんです」

------なるほど。
じゃあそういう時に、逆に体を動かさなかったら…。

「いつまでたっても脳は活性化せずにだらだらとし続け、かえってもっとだるくなる場合が多いと思います」

------そうなんですね。

「だから、まずはちょっと散歩に行くとか、そういう行動が大事ですし、それにより目に映る物が変化していくとやる気に繋がったりしやすいんですよね。
やる気がおきないからゴロゴロしていると、ゴロゴロしているから益々やる気が起きなくなるんです」

------思い切って、まずは体を動かすことが大事なんなですね!




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