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幼児性が強い人

最近多い相談として、
困った人たち」への対応がわからず困っている

また逆に
「困った人」と言われてつらい思いをして困っている、

というのがあります。

その「困っている」度合いがとても大きい場合は、医療機関に行くと発達障碍愛着障害パーソナリティ障害などの診断名がつくかもしれませんが、そこまでではないというグレーゾーンのケースが増えてきたのかもしれません。

さて、それらの「困った人」にはそれぞれいろいろなパターンがあり、それらをまとめて説明するのは難しいのですが、お話を聞いていると「幼児性」という問題が浮かび上がってくることが多いんですね(なお筆者は大学でコミュニケーション心理を20年近く教えていますが、昔に比べると幼児性が強い人が増えてきていると感じています)。

もっとも、幼児性といってもいろいろあります。
例えば、
【A】
・自己中心である
・共感が欠如している
・態度が尊大、傲慢である
・特別扱いを求める
・何でも自分の期待に応えるよう人に要求する
・自分が得をすることしか考えない

というパターンもありますし、逆に
【B】
・人からの支援がないと動けない
・責任を取らない、他の人に責任を転嫁する
・無力感を出し、人に頼る
・好かれるために自分の考えを持たない

というパターンや、
【C】
・批判されることをとても恐れる
・拒絶や傷つくことが怖いので新しい人間関係を築けない
・好かれているという場合しか恋愛ができない
・プライドが高いように見えるが、実は馬鹿にされるのが怖い
・確実に成功することか、失敗しても傷つかないハイレベルなことにしかチャレンジしない

というタイプ、
【D】
・自分が注目されていないと不愉快
・関心を引く為の服装等
・誇張した表現
・影響を受けやすい
もあります。

これらは【A 自己愛性パーソナリティ】、【B 依存性パーソナリティ】、【C 回避性パーソナリティ】、【D 演技性パーソナリティ】などと呼ばれていますが、人を困らせる度合いが強過ぎると〇〇性パーソナリテイという言葉の後に「障害」という文字が付くわけですね。

なお上記以外に、下記の項目が当てはまる場合は、問題はかなり深いところにあると言われています。

・自分の認知、他人の認知、出来事の認知が甘い、若しくは歪んでいる
・感情の強さが普通ではなく、しかも不安定
・対人関係の偏りが大きい
・見捨てられ不安が非常に強い
・賞賛から急にこき下ろしになるなど極端で不安定な人に対する評価
・不適切な激しい怒りや、怒りが制御できず長時間継続

(注1) しかし、ここでこういう疑問を持つ人もおられるのではないでしょうか。

「これらの特徴の中には、結構発達障害と被るものがあるんじゃない?」と。

そうなんですよね。例えばアスペルガータイプの人は、傍から見ると自己愛性パーソナリティの項目が当てはまっているように見える場合がかなりあると思います。

「じゃあ、発達障碍とパーソナリテイ障害の違いって何?」

現時点では、発達障碍は「脳の中の神経伝達物質システムを構成している化学物質の内のどれかに、先天的にうまくいかないところがある」と言われており、パーソナリテイ障害は「幼少期の親子関係に問題があった」ためと言われています。

でも、ちょっと付き合っただけで違いがわかるかというと、それはかなり難しいことであって、実際お医者さんに境界性パーソナリティ障害だと診断されたとカウンセリングに来られた方でも、なんか違和感があるのでもう一度違うお医者さんに診てもらったら、今度は発達障碍だと診断されたなどというケースは珍しくありません。
また、愛着障害(虐待・ネグレクト等)によって脳が変化し、発達障碍タイプに起こるような問題思考や問題行動が生じるという研究結果もありますし、逆に言うと発達障碍の子の育てにくさが虐待やネグレクトへと繋がってしまう場合もあるので、このあたりは大変難しい問題です。
(なお筆者は発達障碍とパーソナリテイ障害の違いを、大まかな分け方にはなってしまうのですが、前者を「直球勝負」、後者を「変化球勝負」をする人と考えています。もちろんこれをすべてのパターンに当てはめるのは乱暴ですが、カウンセリングではそのあたりをあまり厳密に考えるより、未来の問題解決の方にエネルギーを使った方がよい結果になるのではないかと考えています。)




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「困った人」への処方箋


家族療法や短期療法のカウンセラーは、よくこう言います。

【人】が問題なのではなく【問題】が問題なのである

そうだとしたら、この件においては「【困った人】が問題なのではなく【問題】が問題なのである」となりますね。

では【問題】とは何でしょう?

そうですね。【周囲に迷惑をかけていること】が問題となります。

さて、人は誰しも或る程度は人に迷惑をかけています。 それは気が付かない間にかけていることもあるでしょうし、スマホを見ながら駅の通路や狭い歩道をゆっくり歩くなど、注意すればかけなくても済む迷惑を発生させている場合もあるでしょう。

となると問題となるのは、まず「迷惑の度合い」が考えられます。
ところが「困った人」が問題となっているケースを聞くと、その本人だけではなく周囲にも、その「困り度」のモノサシがはっきりしていない場合が多いんですよね。

例えば交通違反の場合は普通車で速度超過が 15~19kmの時、違反点数 1 反則金は12,000円
20~24kmの時、違反点数 2 反則金は15,000円
25~29kmの時、違反点数 3 反則金は18,000円
と決まっています。

でもこういうモノサシもなく、ただ「困っている」と繰り返しつぶやいていて、終にはどちらかがブチ切れるということはよくあるのです。


次に問題となるのは「困った人」によくある、イエス・キリストの言葉「自分の目の梁を気にせず、人の目の塵を気にする(自分の目には梁があるのに、どうして兄弟にむかって、あなたの目からちりを取らせてください、と言えようか)」という認知の歪みです。
「困った人」の自己認知が甘いということですね。

この場合は、その「困った人」よりも理論的に説得することが得意な人が必要となります。


そして3つ目。実はこれがとても大きな問題なんです。
例えば友達でも恋人でもよいのですが、基本的には付き合いというものは

「相手から受けるメリット」-「相手から受けるデメリット」=?

という式で表されます。



この「解」がマイナスになると、付き合いは切れたり破綻したりするということですね。
しかし往々にしてこういう場合は、「切られる人」はこの図のデメリット部分、これは欠点とか苦手なところの場合が多いのですが、これを小さくしようとしますし、迷惑を受けた人もこれを小さくさせようと注意したり罰を与えたりします。

ところが実はそれが結構難しいんです。
パーソナリティ障害の場合は幼少期に形成されてしまい、かなりパターンが固定されている場合が多いですし、発達障碍の場合は脳の構造上の問題ですから、これまた変えるのが難しい…。

だとすると?

そうなんです。周囲の人へ与えるメリットを大きくするしかないんですね。
「彼からは随分迷惑を被っているけど、それ以上にメリットも受けている」と言われるようになるわけです。



もちろんこれだって簡単ではありませんが、実はデメリット部分を小さくするよりは上手くいく可能性が高いんです。
実際、カウンセリングでこれが上手くいったケースは結構多いのです。

もっとも、カウンセリングというと傾聴や共感をイメージする人が多いですし、またそれをメインとしているカウンセラーも多いのですが、この上記のやり方を行うカウンセラーはそれよりも家族療法(短期療法)や解決志向アプローチでポンポンと進んでいくタイプが多いのではないかと思いますので、そういうカウンセラーに相談してみるのもよいのではないでしょうか。



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Copyright(c) 合同会社ベルコスモ・カウンセリング 鷲津秀樹 2023年9月21日
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この内容はNPO日本次世代育成支援協会の鷲津が、愛知大学OCでの講義の内容を元に書いております。
著作権は合同会社ベルコスモ・カウンセリングと鷲津秀樹にありますので、無断使用、複写等はできません。ご了承ください。




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中日新聞にネット依存のコメント掲載

2018年6月5日付け中日新聞朝刊の秋葉原殺傷事件の検証記事、「孤立 ネットの虚構におぼれ」において、ベルコスモ・カウンセリング代表の鷲津が取材を受けた時のコメントが載っています。
(内容は左の記事の画像をクリックしてください)




ZIP-FM公開生放送にゲスト出演

平成30年3月29日にZIP-FM(77.8)公開放送にゲスト出演しました

番組名:「SMILE HEART BEAT」
パーソナリティ MISATO
 

 

和歌山県主催のネット依存防止セミナーの講師を務めました

平成30年1月28日(土)に和歌山県主催の「ネット依存防止セミナー」が開かれ、講師を務めました。
https://npo-jisedai.org/2018wakayama.pdf






ZIP-FM(77.8)にゲスト出演しました。平成30年1月17日(土)

番組名:Midnight chrome(ミッドナイトクローム)
出演:Cellchrome(セルクローム)
「Cellchromeが今夜調べてみました」
~どうして人は面倒なことを先延ばしにするの?~


 

 

稲沢市広報に掲載されました

稲沢市の「いじめ・不登校対策委員会」主催の小中学校の先生方の研修会で、『ネットいじめ』について講演させていただいた内容が、稲沢市の広報で紹介されました。
https://npo-jisedai.org/inazawa.pdf






名古屋テレビの報道番組「UP!」でコメントしました。

名古屋テレビの報道番組「UP!」で、ネット・スマホゲームの問題点についてお話しました。(2016.8.25)




名古屋市「保育リスクマネジメント研修」の講師を務めました。

名古屋市の約200名の保育士の方々に、保育リスクマネジメントのお話をさせていただきました。(2016.8.24)






碧南市広報に掲載されました。


碧南市の医師会、歯科医師会、薬剤師会と行政が一体となった「碧南市健康を守る会」の総会で、代表の鷲津秀樹が講演させていただいた内容が、碧南市の広報で紹介されました。
https://npo-jisedai.org/hekinan.pdf






稲沢市広報に掲載されました

稲沢市の「いじめ・不登校対策委員会」主催の稲沢市の小中学校の先生方の研修会で、 『ネット・スマホ依存』について講演させていただいた内容が、稲沢市の広報で紹介されました。
https://npo-jisedai.org/27inazawa.pdf




■講演実績例

愛知県動物保護センター
 「職員コミュニケーション研修」
三重大学
 「教職員対象にハラスメント防止」
田原青年会議所
 「企業コミュニケーション理論」
国分寺青年会議所
 「大人と子供のコミュニケーション」
日本ポスティング協同組合
 「全国組合企業管理者研修会」
独立行政法人雇用・能力開発機構
 「関東地協セミナー」
上尾商工会議所青年部
 エゴグラムとコミュニケーション

碧南青年会議所
 「人間関係の達人になる方法」
南山経済人クラブ
 心理から見た「好きな人にモテる方法」

三重県司法書士会四日市支部
 「メンタル・ヘルスセミナー」
不二サッシ
 「心理から見た「安全」について」
長崎市介護支援専門員連絡協議会
 「聴く力・伝える力」
ゲオ ビジネスサポート
 「コミュニケーションセミナー」
日本易学連合会大阪支部総会
 「深層心理学」
碧南市健康を守る会
 「メンタルヘルスとコミュニケーション」
愛知県農林水産事務所
 「心理を知って自分を磨こう!」
名古屋市
 「保育リスクマネジメント研修」
公益社団法人 日本易学連合会大阪支部
 「深層心理」  他多数




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