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うつ病や不登校、アダルトチルドレンに見られる低い自己肯定感


「自分は何のために生きるのか、何のために存在しているのか」

そう悩む子どもが年々増えています。

数年前は小学4年あたりからその悩みを抱える子が見かけられましたが、ここ1~2年はなんと小学2年生でもこの言葉をつぶやく子がいると先生方から伺いました。
そして、その悩みをそういう子ども達は「親に心配をかけたくないから」と、親には相談せずに独りで抱え込んでいるそうです。
そういう子ども達の特徴は、とにかく自己肯定感や自己評価が低いということ。

さて、外国で言われているセルフエスティーム、日本では自尊心とか自己肯定感と訳されることが多いのですが、これにおいては世界の中でも日本人の低さはいろいろなデータで明らかになっており、聞いたことがある人も多いと思います。

理由は色々と言われていますが、やはり『子ども時代に褒められることが少ないこと』が原因であることは間違いないでしょう。

最近は子育てにおいての知識が普及し改善されてはいるものの、やはり周りを見渡してみると『誉め言葉』や『認める言葉』は欧米と比べるとかなり少ないと感じます。

また、改善されたとは云え、その誉め言葉は『プロセス』ではなく『結果』に対しての誉め言葉だったり、『頑張ったこと(努力)』に対してのねぎらいであることが多く、『その人の存在』に対して誉める、認めるというケース(例えば「君がいると楽しい」など)はとても少ないのではないでしょうか。

また日本人は、アドラー心理学の第一人者である野田俊作先生の言葉を借りると、すぐ「引き算」をやってしまうことが多いんですよね。

『理想の夫(妻)』から『現実の夫(妻)』を引く。

『理想の子ども』から『現実の子ども』を引く。

『理想の親』から『現実の親』を引く。

『理想の部下(上司)』から『現実の部下(上司)』を引く。

引き算ばかりやっていると、引き算が終わったあとに残るのはダメなところ(欠点)ばかりですから、そりゃ褒められるはずがありませんよね。

そして挙句の果てには『理想の自分』から『現実の自分』を引いているワケです。





さて、こういう家庭で育てられた子は、そういう考え方を受け継ぎます。
「叱って(怒って)物事を解決する」ということですね。

しかも褒められていないから、『褒め方』も知らなければ『良いところの探し方』も知りません。
…というか、そもそも『誉め言葉』のボキャブラリー自体が少ないのです。

こういうパターンを世代間連鎖と言っているのですが、逆に言うと褒められて育った子は、自然と『褒め方』も『良いところの探し方』も『誉め言葉』のボキャブラリーも身についていくということですね(この差は本当に大きいのですが)。



低い自己評価はどうすれば良い?

さて、ここで育った環境の愚痴をいくら言っていても、自己肯定感は上がりません(というか、愚痴ばかり言っていると、そんな自分が嫌になって益々自己肯定感が下がります)。

「ではどうすればいいんだ?」ということになりますが、ここで本などを読んだりセミナーに行ったりするとよく出てくるのが「成功体験を積み上げる事」という言葉…。

確かにそういうことも大事でしょう。

でも、ここで「成功体験を積み上げるにはどうすればいいんだ?」というツッコミを入れたくなりませんか?
それがなかなかできないから、みんな苦労しているんですもんね。

そして実は、成功体験を積み上げていても深層心理では自己肯定感が低い人だっていくらでもいますし(もっとも『表面上のプライド』は高い場合が多いですが)、成功し続けていても「今度こそ失敗するかもしれない」という不安を抱えている人も、いくらでもいるのです。

また、これもセミナーなどでよく言われる言葉がこれ。

「そのままの貴方でいいんだよ」

「ありのままの貴方でいいんだよ」

この言葉を聞いて涙が溢れたという人も多いでしょう。

もちろんこういうやさしい言葉をダメだと言うつもりはありません。ただ、こういうやさしい言葉だけで自己肯定感が本質的に上がるかと言えば、実際のところはそうでもないケースが多いんですね(これを聞いて、「よしっ!明日からありのままの自分を出すぞ」という人もそんなにはいないのではないでしょうか?ちなみに僕なんかだと、『ありのままの自分』をそのまま出したらすぐに友達が一人もいなくなりそうな気がします)。

「じゃあ、どうすればいいんだ?」

ではここで、もう一度自己肯定感が低くなってしまった理由の一つ、『褒められることが少なく、怒られることが多かった』ということに戻りましょう。

図にするとこういうことです。



しかも、一番大事な『存在を肯定する』ということが抜け落ちています。
ただ、ここでは『存在』の話はまずは置いておき、手を付けやすいところから行きますね。

まずここで注意が必要なのは、怒られた部分に対しての自分の『認知の枠組み』です。

「ダメだ」、「恥だ」、「人に知られたくない」 etc etc…。

でも、「ダメだ」と言っているのは誰なのでしょうか。自分なんですよね(得てして結構偉そうに見下して言っていたりするものですが)。

「ダメだ」と言って良くなるのならいいんだけど、そもそも簡単に良くなるくらいなら、もう良くしているはずです。

つまりは、「こんなもの」なんですよね。

「自分のダメなところを認めろと言っても、認められない!」という人も多いのですが、でも「こんなもの」なんです。

だとしたら、「しょうがないものはしょうがない」

「それがどうした」なんですよね。

ここがポイントです。「そのままの貴方でいいんだよ」という「やさしい言葉」ではなく、「それがどうした」という強さが必要なのであり、それこそが自己肯定感なのです。




念のため、別の切り口でご説明しましょうか。

例えば自己肯定感が低い人の中には、資格取得に励む人がいます。
もちろん資格を取ろうというポジティヴな姿勢は結構なことです。

ただ、お話をしていると「自分の欠けているところを資格で埋めよう」という思いが無意識に感じられるケースがあるんですよね。
その場合は、下図のような構造になっているわけです。



しかしこういう構造の場合は、根本的には解決していないことが多いんです。
欠けているところを「資格」に依存しているだけですからね。

そうじゃないんです。
「欠けている自分はダメ」なのではなく、そもそも我々人間は「欠けているのが当たり前」なんです。
つまり「欠けていてOK」なのです。
でも「欠けていると気になる」という人もおられるでしょうから、こうリフレーミングしてみましょうか。

我々はそもそも(I am OKな)小さな玉と考えてみたらいかがでしょう?
そしてその玉に、学歴やら資格やら肩書きがついていくと。



もっとも、今書いた「学歴」やら「資格」やらは、ひょっとしたらどこかのお金儲けが上手な人が考え出した「飾り物」かもしれません。
どちらにしろ、それは未来という「時間」さえあれば、増やしていくことができる、
つまり「可能性」は有るわけです。
そして、「欠点」というと「欠けている」と落ち込みやすいイメージがありますが、「短所」と言えば要は下図のように「ただ、短いだけ」です。
もちろん「長い」にこしたことはないでしょうが、よくよく考えたら「こしたことはない」程度のものが多いんじゃないですか?



だから、やっぱり「それがどうした」でいいんです。
誰かにゴチャゴチャ言われたところで「余計なお世話だ」で済ませばいいんです。

しかし、ただ開き直っているだけでは成長というものがありません。

ですので、ここからはスキルの話となりますが、苦手なところは人の助けを借りる必要があるんですね。




でも、これもまた結構難しい問題です。
自己肯定感が低い人は、人に「頼む」のが苦手な人が多いですから(ちなみに、人に「頼む」のが苦手な人は、「断る」のも苦手な場合が多いので、益々苦しくなるのですが)。

しかし、「頼みっぱなし」ではもちろんちょっとまずいですが、要は自分の得意なところで借りを返せばいいんですよ。
ということは、やはり得意なことに気付くことと、それを伸ばすことが必要となってきます。

これについてお話すると、これはこれで結構長くなるので別の機会に回しますが、まずは「それがどうした」にチャレンジしてみませんか?

そして、くだらない「低い自己評価」という勘違いは、もうやめちゃいませんか?




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安城市市民講座「もしかしてHSP?」

5月26日に、安城市二本木公民館で市民講座「もしかしてHSP?」(講師 当協会鷲津代表)が開講されました。




豊田市の「こころの健康づくりニュースレター」を執筆

愛知県豊田市では毎年3月を「自殺対策強化月間」とし、春の自殺予防キャンペーンを実施しており、それにに向けて、2021年1月から3月の3か月間、月1回「こころの健康づくりニュースレター」を提供しています。その1月号「劣等感と劣等コンプレックスについて」、2月号「劣等感と劣等コンプレックスについて NO2」、3月号「新しい環境におけるメンタルヘルス」を当協会の鷲津理事が執筆しました。 (画像をクリックすると拡大して読めます)


小牧市の学校・カウンセラー連絡協議会の講演を務めました

2020年11月6日に小牧市小中学校の令和2年度学校・カウンセラー連絡協議会で「家族や学校でできるネット・スマホ・ゲームオ依存にならない方法」の講演を務めました。受講されたゲーム依存担当の先生方やスクールカウンセラーの皆様にとって少しでもお役に立てましたら幸いです。


あいち男女共同参画財団主催のHSPセミナーで講師を務めました

2020年7月25日に公益財団法人あいち男女共同参画財団主催のセミナー「もしかしてHSP(ひといちばい敏感な人)?」の講師を務めました。沢山の方からキャンセル待ちをいただくくらい参加応募が多かったのですが、新型コロナ対策で席の間隔を置かなければいけなかった為、多くの方の参加ご希望に応えられず申し訳ありませんでした。


ネット・ゲーム依存防止の取り組みが毎日新聞に紹介されました

2020年2月6日付毎日新聞の「論+(プラス)」で、当協会の「ネット・スマホ・ゲーム依存防止」の取り組みが紹介されました。(詳しくは左の写真をクリック)




「eスポーツ」についてのコメントが東京新聞に紹介されました

2020年1月11日付東京新聞の社会面で、「eスポーツ」についてのコメントが紹介されました。(詳しくは左の写真をクリック)







三重県保険医協会「スマホ依存の予防と対処法」市民講座


8月25日(日)に三重県保険医協会が市民講座を開かれ、講師を務めました。(三重県保険医協会とは、三重県下の医師、歯科医師で構成し、患者、国民の命と健康を守るために活動している団体で、一般市民を対象に医療情報を提供する市民公開講座です)


 

青少年育成大会で「スマホ依存の予防」の講師を務めました

2019年11月14日に、名古屋市緑区青少年育成区民大会で「ネット・スマホ・ゲーム依存の予防と対処」の講演を務め、沢山の区民の方々に依存症の怖さを知っていただきました。


『弔活の準備、進め方』「女性自身」に掲載されました


9月10日発売の週刊誌「女性自身」(2019年9月24日号)で、『弔活の準備、進め方』(親に不愉快にさせずに、終活を薦める言い方等)について当協会の鷲津が書いた記事が掲載されました(90P~)。



名古屋市立小中学校PTA協議会のPTA新聞で掲載されました

ネット・ゲーム依存防止の取り組みが、名古屋市立小中学校PTA協議会が小中学校に配布するPTA新聞で紹介されました。
http://pta-nagoya.jp/wp-content/themes/pta-theme/images/pdf/shinbun/440.pdf



ネット・ゲーム依存防止の取り組みが中日新聞に紹介されました

2019年7月13日付中日新聞夕刊の社会面で、「ネット・スマホ・ゲーム依存防止」の取り組みが紹介されました。












児童とスマホ依存の問題についてお話しました

2019年4月3日に東海テレビ「スイッチ」で、幼児や児童にスマホを見せることについてお話しました。






中日新聞にネット依存のコメント掲載

2018年6月5日付け中日新聞朝刊の秋葉原殺傷事件の検証記事、「孤立 ネットの虚構におぼれ」において、当協会代表の鷲津が取材を受けた時のコメントが載っています。
(内容は左の記事の画像をクリックしてください)








和歌山県主催のネット依存防止セミナーの講師を務めました

平成30年1月28日(土)に和歌山県主催の「ネット依存防止セミナー」が開かれ、講師を務めました。
https://npo-jisedai.org/2018wakayama.pdf






稲沢市広報に掲載されました

稲沢市の「いじめ・不登校対策委員会」主催の小中学校の先生方の研修会で、『ネットいじめ』について講演させていただいた内容が、稲沢市の広報で紹介されました。
https://npo-jisedai.org/inazawa.pdf






名古屋テレビの報道番組「UP!」でコメントしました。

名古屋テレビの報道番組「UP!」で、ネット・スマホゲームの問題点についてお話しました。(2016.8.25)




名古屋市「保育リスクマネジメント研修」の講師を務めました。

名古屋市の約200名の保育士の方々に、保育リスクマネジメントのお話をさせていただきました。(2016.8.24)






碧南市広報に掲載されました。


碧南市の医師会、歯科医師会、薬剤師会と行政が一体となった「碧南市健康を守る会」の総会で、代表の鷲津秀樹が講演させていただいた内容が、碧南市の広報で紹介されました。
https://npo-jisedai.org/hekinan.pdf






稲沢市広報に掲載されました

稲沢市の「いじめ・不登校対策委員会」主催の稲沢市の小中学校の先生方の研修会で、 『ネット・スマホ依存』について講演させていただいた内容が、稲沢市の広報で紹介されました。
https://npo-jisedai.org/27inazawa.pdf






交流分析・エゴグラム セミナー サンプル

子育てセミナー(ABA 応用行動分析) サンプル



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