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【『ごほうび』と『お祝い』と『やる気』】



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子育てに活かせる!『ものの見方、考え方』
【『ごほうび』と『やる気』】
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今回も私たちNPOハート・コンシャスの理事でもある鷲津先生(名城大学心理学非常勤講師、NPO法人日本次世代育成支援協会代表)に伺いました。


今回は『ごほうび』について、ちょっとお聞きしたいことがあるんです。

「はい。なんでしょう?」

------よく、行動療法やABA(応用行動分析)では『ほめる』とか『ごほうび』を与えることによって行動を変化させようって言いますよね。
ただここで、『ごほうび』で釣って何かをやらせても、『ごほうび』が無くなると結局は元の木阿弥になるんじゃないかっていう心配をされる親御さんが多いんですけど。

「とってもいい質問ですね。確かにその可能性はあります。実はE・デシ博士とライアン博士がその研究に取り組み、
人はいったん報酬を受け取り始めると、その活動への興味はかえって低下し、報酬を打ち切られるともはやその活動をしたいと思わなくなる
という実験結果を発表したんです」

------えっ! じゃあお母さん方の心配は当たっているっていうことなんですか。

「半分は当たっています。ごほうびというのは外発的動機と言うのですが、プラスの面もマイナスの面もあるんですね。今お話したことはマイナスの面です。
例えばゲームなんかでも、報酬をあげると約束したケースと、何も報酬がないケースでは、報酬がないヒグループの方が報酬をあげると言われてやったグループよりも『おもしろかった』という率が高いんですよ」

------となると、つまりこういうことですね。
『勉強をやったらごほうびをあげる』と言われやった子のほうが、ごほうび無しで勉強した子よりも、勉強のおもしろさは少ない、と…。

「そういうことになりますね」

------え~っ、まずいじゃないですか。

「まずいと言えばまずいのですが、これは『ごほうびがなくても勉強する子』に対してはマイナスということなんですよ」

------あ、そうですね。
そもそも勉強しない子の場合は、マイナスも何もないですもんね(笑)。

「そういうことです。そして、基本的には人って『押し付けられた勉強は嫌い』なんですよ。これは子どもだけじゃなく…」

------ですよね~。

「これは、僕がよくカウンセリング講座や心理学講座に参加されている人達に言う言葉なんですけどね。
『勉強が好きな人なんて、ほんの一部なんですよ。こうやってわざわざ休みの日にお金を払って心理学を学ぼうなんていう意志のある人は、一般的じゃないんです。通知表で言えば5の人なんです。だから、その基準を子どもにもあてはめないでくださいね。普通っていうのは≪休みの日は遊ぶ≫なんですから』って」

------そうかもしれませんね。

「さて、話を戻しますが『ごほうび』というのは確かにマイナスの面もあります。しかしごほうびとかの外発的動機がないと、やる気にならないのもこれはこれで普通なんです。
だから、とりあえずはこのごほうびなどの外発的動機でスタートし、勢いがついたところで如何に内発的動機に変えていくかがポイントなんです」

------自分の内に『やる気』を持つということですね。

「ところが、それがなかなか難しいんです。内発的動機、やる気というのを自分で出せるようになる子なんて、ほんの僅かですから」

------優秀と世間で言われている子ですよね。

「そうなんです。よくこの内発的動機、やる気を自分で出せるようになるには、『達成感』が大事だと言われています。例えば何かにチャレンジして成し遂げたとかですね」

------クラブ活動で大会に優勝したとか、テストで何番以内に入ったとかですよね。

「はい。そうやって目標を達成すると、その達成感の慶びが自分の内発的動機になるということなんですね」

------なるほど。

「ところが、これってそもそも優秀な子ならいいんですけど」

------ですよね。
弱いクラブとか、成績が下位だったりすると…。

「まぁレベルが少し上がったとして、全く達成感が感じないわけではないでしょうが、モチベーションがそんなに上がらない場合も多いんです」

------じゃあ、世間で言うところの優秀な子じゃない場合でも有効な手ってないんでしょうか?

「いい質問です。あるんですよ、これが。しかも凄く強力なのが…」

------えっ!なんですか?

「それが『お祝い』なんです。
ここでちょっと『ごほうび』と『お祝い』の違いを説明しますね。実はごほうびには少々な問題があるんですよ。『ごほうびをあげる』というのは、一般的には『上』から『下』への流れなんです。親から子へとか先生から生徒へ。大人になると上司から部下へとかね」


------確かに上下の関係の場合が多いですね。

「そうですね。アドラーの言うところの『縦の関係』なんです」

------だから、これに敏感な子は反発したりするわけですね。

「そのとおり! それに引き換え『お祝い』というのは主役、つまり子どもを持ち上げるという感覚なんです」



------なるほど。確かにそうですね!

「『お祝い』というのは、お母さんやお父さんが主役と一緒になって喜ぶことなんです。
例えば300人中280番の子が、ちょっと頑張って260番になったとしますね。その時に如何に喜べるかが大事なんです」

------そこなんですね。

「そこなんです。ここで喜べる親って意外に少ないんですよ。逆に『そんなレベルで喜んでいたらダメ』って言う人は多いんですけどね(笑)」

------あ、そうかも。

「子どもにとっては、『一緒に喜んでくれる人がいる』とか、『親のうれしそうな顔を見る』っていうことは、結構大きな内発的動機に繋がるんですよ。嫌な勉強でも、親の喜んだ顔のイメージが心の中にあると、やる気が出るんです」

------なるほど。

「だから、例え少しでも子どもが何かをやって頑張った時とか、子どもが内心うれしい時に、いかに親が【お祝いができるか】、そして【一緒になって喜べるか】が勝負なんですよね」

------そうなんですね。
例え子どもが普段あまり勉強とかしなくても、「勉強をやれ!」とせかしたり怒ったりばかりしていないで、たまにとか偶然にやっている時にうれしそうな顔を見せたほうがずっといいってことですね。

「そういうことです。それに、そういうことを親が気を付けていると、子どもは自分が【人を喜ばすことができる】人間だというふうに、自分の存在に自信を持って育っていきます。是非、うれしそうな顔を見せてあげてください」



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大分大学地域連携プラットフォーム推進機構」主催のセミナー

2024年3月6日に大分県立看護科学大学、日本文理大学、別府大学、立命館アジア太平洋大学、大分県立芸術文化短期大学、大分短期大学、東九州短期大学、別府溝部学園短期大学、別府大学短期大学部、大分工業高等専門学校、放送大学大分学習センター、大分大学で構成される「大分大学地域連携プラットフォーム推進機構」主催のセミナーの講師として、各校の教職員の方々対象にWEBで講演しました(鷲津秀樹)。 (翌週13日は大分大学単独で先生方への講演)


第34回 子どもの健康を考えるつどい

愛知県保険医協会主催の「第34回 子どもの健康を考えるつどい」で、ネット・スマホ・ゲーム依存に関する講演で講師を務めました。
テーマ「コロナ禍が及ぼす子どもたちの心への影響と、その対処法」
講師 NPO日本次世代育成支援協会代表 名城大学非常勤講師 鷲津秀樹
対象 保険医協会会員の医師歯科医師 学校教諭、保育士、一般市民


愛知県小児科医会の会報に寄稿

今年3月に愛知県小児科医会の第56回「子どもの健康を守る会」での講演の講師をする予定でしたが、コロナで中止となった為、替わりに今年度の愛知県小児科医会の会報への寄稿を依頼され、それが配布されました。
鷲津代表の内容は「コロナ禍が及ぼす子どもたちの心への影響と、その対処法」です。












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