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大人のADHD

まずはADHDとは何か? ということについてから始めましょう。

ADHDとは注意欠如多動症のことで、文字通り『注意欠如(不注意)』優勢タイプと『多動性(多動性・衝動性)』優勢タイプ、そして両方が入り混じったタイプがあります。

ADHDというと、主に男の子をイメージすることが多いようですが、女の子にも存在しますし、成人男女にも存在します。

ちなみに、僕もADHDっぽい人です。

「『っぽい』ってなんじゃ?」と思われた方もいるでしょうね。
実は、ADHDには【社会的、学業的、または職業的機能において、臨床的に著しい障害が存在するという明確な証拠が存在しなければならない】という要件が有るんです。
そして、僕は著しい障害とまでは言えないんですね。

ただ、下記にあてはまるのが多い人は、アダルトADHDっぽい人かもしれません(これによって社会的に著しい障害があるという証拠が有れば、お医者さんやカウンセラーに直行しましょう)。

1.整理整頓がすごく苦手
2.物事をきちっと終わらせることができない
3.ついついぼんやりとしてしまう
4.自分について、対人関係についての認識が甘い
5.とりあえず、と色々なことに手をつけ、ゴチャゴチャになってしまう
(以上注意欠陥)
6.衝動的な行為や発言をしてしまう
7.切れてしまうことがちょいちょいある
8.一つのことを落ち着いて長時間やれない
(以上多動性・衝動性)


さて、先に『要件』と書きましたが、ADHDの要件は、アメリカ精神医学会が作成した『精神疾患の分類と手引き』である「DSM-V」に書かれていますので、今度はそちらをご覧ください。


「DSM-V」より

A.(1)および/または(2)によって特徴づけられる。不注意および/または多動性-衝動性の持続的な様式で、機能または発達の妨げとなっているもの

(1)
不注意:以下の症状のうち6つ(またはそれ以上)が少なくとも6ヶ月持続したことがあり、その程度は発達の水準に不相応で、社会的および学業的/職業的活動に直接、悪影響を及ぼすほどである
注:それらの症状は、単なる反抗的行動、挑戦、敵意の表れではなく、課題や指示を理解できないことでもない。青年期後期及び成人(17歳以上)では、少なくとも5つ以上の症状が必要である

(a)
学業、仕事、または他の活動中に、しばしば綿密に注意することができない、または不注意な間違いをする(例:細部を見過ごしたり、見逃してしまう。作業が不正確である)。
(b)
課題または遊びの活動中に、しばしば注意を持続することが困難である(例:講義、会話、または長時間の読書に集中し続けることが難しい)。
(c)
直接話しかけられたときに、しばしば聞いていないように見える(例:明らかな注意を逸らすものがない状況でさえ、心がどこか他所にあるように見える)。
(d)
しばしば指示に従えず、学業、用事、職場での義務をやり遂げることができない(例:課題を始めるがすぐに集中できなくなる、また容易に脱線する)。
(e)
課題や活動を順序立てることがしばしば困難である(例:一連の課題を遂行することが難しい、資料や持ち物を整理しておくことが難しい、作業が乱雑でまとまりがない、時間の管理が苦手、締め切りを守れない)。
(f)
精神的努力の持続を要する課題(例:学業や宿題、青年期後期及び成人では報告書の作成、書類に漏れなく記入すること、長い文書を見直すこと)に従事することをしばしば避ける、嫌う、またはいやいや行う。
(g)
課題や活動に必要なもの(例:学校教材、鉛筆、本、道具、財布、鍵、書類、眼鏡、携帯電話)をしばしばなくしてしまう。
(h)
しばしば外的な刺激(青年期後期及び成人では無関係な考えも含まれる)によってすぐ気が散ってしまう。
(i)
しばしば日々の活動(例:用事を足すこと、お使いをすること、青年期後期及び成人では、電話を折り返しかけること、お金の支払い、会合の約束を守ること)で忘れっぽい。

(2)
多動性および衝動性:以下の症状のうち6つ(またはそれ以上)が少なくとも6ヶ月間持続したことがあり、その程度は発達の水準に不相応で、社会的および学業的/職業的活動に直接、悪影響を及ぼすほどである
注:それらの症状は、単なる反抗的行動、挑戦、敵意の表れではなく、課題や指示を理解できないことでもない。青年期後期及び成人(17歳以上)では、少なくとも5つ以上の症状が必要である。

(a)
しばしば手足をそわそわ動かしたりトントン叩いたりする、またはいすの上でもじもじする。
(b)
席についていることが求められる場面でしばしば席を離れる(例:教室、職場、その他の作業場所で、またはそこにとどまることを要求される他の場面で、自分の場所を離れる)。
(c)
不適切な状況でしばしば走り回ったり高いところへ登ったりする(注:青年または成人では、落ち着かない感じのみに限られるかもしれない)。
(d)
静かに遊んでいたり余暇活動につくことがしばしばできない。
(e)
しばしば”じっとしていない”、またはまるで”エンジンで動かされているように”行動する(例:レストランや会議に長時間とどまることができないか不快に感じる;他の人には落ち着かないとか、一緒にいることが困難と感じられるかもしれない)。
(f)
しばしばしゃべりすぎる。
(g)
しばしば質問が終わる前に出し抜いて答え始めてしまう(例:他の人達の言葉の続きを言ってしまう;会話で自分の番を待つことができない)。
(h)
しばしば自分の順番を待つことが困難である(例:列に並んでいる時)。
(i)
しばしば他人を妨害し、邪魔する(例:会話、ゲーム、または活動にに干渉する;相手に聞かずにまたは許可を得ずに他人の物を使い始めるかもしれない;青年または成人では、他人のしていることに口出ししたり、横取りすることがあるかもしれない)。

B.
不注意または多動性-衝動性の症状のうちいくつかが12歳になる前から存在していた。

C.
不注意または多動性-衝動性の症状のうちいくつかが2つ以上の状況(例:家庭、学校、職場;友人や親戚といる時;その他の活動中)において存在する。

D.
これらの症状が、社会的、学業的、または職業的機能を損なわせているまたはその質を低下させているという明確な証拠がある。

E.
その症状は統合失調症、または他の精神病性障害の経過中にのみ起こるものではなく、他の精神疾患(例:気分障害、不安症、解離症、パーソナリティ障害、物質中毒または離脱)ではうまく説明されない。

------以上


さて、これらの基準は考え様によってはかなり曖昧になってしまいます。
ADHDと類似するものとしては、アスペルガー症候群や反抗挑戦性障害(ODD)、またケースによっては躾が思いっきりできていない等が有り、勝手に判断するのは避けなければいけません。



ADHDの原因は遺伝的要因や神経生物学的要因、つまり生まれつきなものが主で、『親のしつけ』とか『環境の問題』などに障害の原因が有るとは考えられておりません。
但し重症度には『しつけや環境』がかなり関係するようです。
(なお、妊娠時の母親の喫煙がADHDの発症リスクを高めるという研究発表もあります。(Neuman RJ,Lobos E,Reich W,et al.Prenatal smoking ex-posure and dopaminergic genotypes interact to cause a severe ADHD subtype.Biol Psychiatry 61:1320-1328,2007)



お医者さんの治療としては、子どものADHDに対しては脳内物質に働きかけるリタリン(メチルフェニデート)という薬が使われたことが多く、また3分の2くらいの人に効果が表れました。

ただ、この薬は有る面から言うと覚醒剤でもあるので、医師の指示に忠実に服用しなければいけませんし、長期間の服用は避けたほうがよいと言われています。

このリタリンは効いている時間が短いのが難点だったのですが、最近は長時間効くコンサータというリタリンと同類の薬がよく使われています。
また、それとは組成が違うストラテラという薬も使われだしています。
こちらは、抗うつ薬と似た薬で、NRI(ノルアドレナリンの再取り込みを抑える)と呼ばれています。

そしてこれらの薬は最近大人に対しての使用も認可されています。

なお、ADHD児童は児童全体の2~5%(説によっては2%~7%、中には1割を超えるという研究者もいる)だと言われています。
しかも厄介なことに女子の場合は『多動』があまり表れないケースも多いため、ADHDとわからないまま成長していくパターンも少なくありません。
そういうことを考えると、実際はもう少し多いのではないかなという感じもします。

周囲が不注意や多動を叱るとか、それでも聞かないので嫌われたり無視されたりすると、ますます症状や行動がひどくなっていくのがADHDの特徴です(こういうパターンを2次障害と呼んでいます)。


なお、アメリカでは、ADHD児の父親のうち30%が、また母親の20%がアダルトADHDで、親も治療が必要だという説(Barkley)もあります。
かなり遺伝的要素が多いというわけですね。

ADHD児童の3人に1人は大人になればうまくやっていることがわかっていますが、何の対応もせずに大人になった場合は、度々の転職、長期の失業、離婚、犯罪などのケースが一般の人よりもかなり多いのは事実です。
特に女性の場合は、無計画な妊娠をする率が高いこともわかっており、また恋愛においても過剰支配傾向のある男性を選び、ますます自信を失うケースや、自分のテンポに合う自己制御できない男性を選んで、無計画な人生を送ってしまうことも多々あるようです。


対処法

バークレイらの研究では、ADHDの重要な問題は行動抑制能力(反応遅延能力)が低いということに有ります。
つまり、『待てない』など自分をコントロールできにくいということですね。
これによって4つの実行機能(1.作業記憶 2.情動によって引き起こされた自己抑制 3.内的言語 4.行動の分析・抑制)が発達しにくくなると言うのです。

簡単に言うと、『待てない』ということのおかげで、次から次へと興味が移ったり刺激にすぐに釣られてしまい、今やっていることを忘れたり、続けられなくなったり、考えをまとめられなくなったり、損得や人の迷惑を考えられなくなったりするということです。

諸悪の根源は『待てない』ということに有る、という事ですね。
しかも厄介なことに、これは生まれつきの脳の問題なので、『待つ努力をしない』のではなく、先天的に『待つことができにくい』ワケです(バークレイ達の調査において、ADHDの若者は車の運転において、スピード違反や事故が多いという研究結果もあります)。
…となると、対処法としては『待つと良いことがある』ということを、気長に、そしてしっかりと徐々に植え付けていくこと。
また薬で脳の機能を一時的ではありますが、変化させることが現状では一番有効だということになるようです。

また、自分の得意不得意をしっかりと認識し、できるだけ自分の苦手な職業や役割にはつかないことが大事です。
細かい注意を必要とする仕事や、ミスが許されない仕事につくと非難や叱責を受けまくってうつ病になってしまう場合もあります。

想像力のある人や機転の利く人が多いので、企画職やクリエイティヴな仕事で成功している人も沢山います。

また『注意欠如タイプ』の人は、【ミスは必ずしてしまう】という前提で、色々な工夫が必要です(例えば携帯電話とか手帳などは失くしにくいように派手な色にする等)。
「もう二度とミスをしないように肝に銘じるぞ!」といくら決心しても、すぐにその『肝』が忘れてしまいますから。



大人のADHDに関するカウンセリングのご相談は、ベルコスモ・カウンセリングまでどうぞ。遠方の方には電話カウンセリングも行っております。
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