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コミュニケーション上達法 ~聴き方(傾聴)~


私達はついつい自分を知ってほしい、良く見てほしいという欲求の為に、相手にいろいろと『話して』わかってもらおうとしてしまいます。
でも、これはコミュニケーションにおいては、あまりよい方法ではないんですね。

コミュニケーションにおいて大事なことは、まずは相手の話を【しっかりと聴く】という事なんです。

やってみるとわかりますが、話を聴くという事はとても難しい事です。
ついつい自分の意見や考えを挟み込みたくなります。
でも、それをせずに、とにかくひたすら相手の話を聴きましょう。

そして、その時に大切なのはタイミングのよい【あいづち】や【頷き】を、話の中に入れることです。
これは練習が必要です。

でも、これがいかに大事かということは、やってみるとすぐにわかるはずです。
話がすぐにとぎれてしまうという人は、この【あいづち】や【頷き】が無いからなんですね。

まずはどれだけの時間、話を聴き続けていられるか(相手が楽しく自分に話し続けられるか)、目標を設けて時間を計ることにチャレンジしてみてください。

ず~っと相手が話し続けて、「え~っ、もうこんな時間?!」と驚くようになったら、その時貴方はまちがいなく好かれています。


さて、具体的な【あいづち】の練習についてです。

例えば僕がカウンセリングの場面において、よく使うあいづちを挙げてみますね。

「はい」(語尾を下げる)

「はい?」(語尾を上げる)

「あ はいはい!」(理解しました!という感じで)

「はぁ」(相手の、次の言葉を待つ感じで)

「あぁ~~」(あ そうなんですか という感じで)

「あぁ(なるほど)」(短く、手を打つ感じ)

「あぁ!」(わかった! という感じで)

「ほぉ~」(ちょっと驚いた感じ)

「そうか~」(感心した感じ)

「そうそう!」(同意を表す)

「そうですか(そうなんだ~)」(驚いた感じで)

「そうだよね~」(同意を表す)

「ほぉ~」(尊敬を込めて)

「うんうん!」(共感して)

「それで?」(続きを促す)

他にも、賛成できない時は、反対という言葉ではなく「う~~ん(腕組みをして)」というあいづちを使ったり、相手の意図に気付いた時「あっ」と小さく声を出したり、相手の声が大きくなったり、身振り手振りが入ったりして『力がこもってるな』と感じた時は、「なるほど」を連発したりします。


ところで、人間は会話において、自分の話を肯定されるというのはとってもうれしいことなんですね。
ちなみに、【肯定】あいづちはこんな感じとなります。

「あ、なるほどな~」

「あぁっ そっかぁ~」

「そうだよねぇ~~」

「そうそう!」

「あっはっは それは言える!」

もちろん、何でもかんでも肯定すれはいいというものではありません。
肯定していいかどうか、よくわからない場合だってありますし。

そういうときは、無理に肯定する必要はないと思います。
ただ、『それは違うだろ! 』と【~べき主義】で否定しないようにしたいものですね。
(心の狭いやっちゃな~、と思われますから)
そうではなく、『僕はこのように思っていることを、あなたはそのように捉えているんだね』という考え方をすればいいんです。

例えば、貴方は釣りが好きだけど相手は嫌いだったとしますね。
そして、相手がこう言ったとします。

「海釣りなんて、下に魚がいるかいないかわからないのに、あんなのを一日やっている人の気が知れないよ」

さて、この答えを『やった事もないくせに、そういうのはやってから言うべきだ』と【~べき主義】で言うか、『なるほど~、そういう考え方もあるのか~。やってみると結構面白いんだけどな~』と相手の考え方を否定せずに答えるか、ということなんですね。



ところで、カウンセリングの本などに、よく「コミュニケーションとるならオウム返しあいづちが良い」と書いてあったりします。
相手の言ったことを、そのまま返すということですね。

だけど、これがなかなか上手くいかないという人が多いようです。
やってみたら相手に、『聴いてるの? それとも、馬鹿にしてるの?』って怒られちゃったりして…。

確かにオウム返しって、一歩間違えるとそのような印象を与えてしまう時があるんですよね。

実はオウム返し、つまり相手の言葉を繰り返すということにおいては、相手の言葉の中で『どの部分』を返すかが、重要なんです。
ポイントをついた【繰り返し】は、『この人は自分の事を理解してくれている』と共感を得られるんだけど、ポイントがはずれると、『張り合いの無い会話』となって、イライラしてきちゃうんですね。

では、ちょっと【オウム返し(繰り返し)】の例を2つ挙げてみましょう。

【A】
------------ 朝、彼女の眼が赤かったとします。

「どうしたの? 眼が赤いよ」

「うん。昨日会社で嫌な事があって、なんか悔しくて、夜あんまり眠れなかったの」

「夜 眠れなかったんだ」

「うん。だから今日はかったるくって」

「かったるいんだ」

「うん。…やっぱ眠れないとかったるいじゃん」

「そうだね。眠れないとかったるいよね」

「うん。……だから眼が赤いかもしれない」

「眼が赤い」


「うん。だから昨日会社でね。…って、アホかっ! オマエは!」


【B】
------------

同じく、朝、彼女の眼が赤かったとします。

「どうしたの? 眼が赤いよ」

「うん。昨日会社で嫌な事があって、なんか悔しくて、夜あんまり眠れなかったの」

「悔しい?」

「うん、会議の資料を係長に頼まれてプリントアウトしたんだけどさ~。係長はいつもB5の用紙で印刷してくれって言うんだよね。なんかノートの大きさじゃないと嫌みたいで」

「じゃ、いつも頼まれた時はB5でプリントアウトしてるんだ」

「そうなのよ。だからいつものように、B5で持って行ったら、そこに課長がいて『会議の資料は普通はA4に決まっているだろう!』って」

「あらまっ」

「ホント、『あらまっ』なんだよね~。でも、そこまではいいんだけどさ~。そこからがひどいのよ。係長までが『まったく今のコは常識を知らないから』なんて言うのよ~」

「係長まで? そりゃ、悔しくて眠れないのも無理ないな~」

「でしょでしょ?」

* ‥ * ‥ *


如何ですか? 『オウム返し』とか『繰り返しの技法』によって、ラポール(共感)が形成される、という話は確かに間違ってはいません。
ただ、何でもかんでもノウハウ通りにやれば上手くいく、というものでもありません。


-----------
繰り返しの技法を使う
  ↓
相手が「自分のことを理解してくれた」と感じる
-----------
ではないのです。


-----------
【相手を理解しようと思っている】
   ↓
その為の1つの方法として、繰り返しの技法を使う
   ↓
相手は、貴方が自分の話を一生懸命理解しようと努力している事に気付く
   ↓
共感や信頼感が形成される
   ↓
相手が「自分のことを理解してくれた」と感じる
----------
なのです。

大事なのは、繰り返しの技法ではなく【相手を理解しようと思っている気持ち】なんですね。

下図をご覧ください。
人にはそれぞれ考え方の枠組み(認知フレーム)があります。
共感というのは、その時分とは違う相手の考え方の枠組みに「仮に立ったとして( As if )」考えてみることなのです。



「思い遣り」という言葉がありますが、あれは「思い」を空いての枠組みに「遣って」考えるということなんですね。

大事なのは「相手が本当に話したいことは何か」を考える事。

上記の例で言えば、『眠れなかったこと』ではなく、『自分が受けた理不尽なことについての悔しさ』なのです。

『眠れないこと』に共感してほしいのではなく、『苛立ち(怒り)』に【共感】して欲しかったんですね。
【繰り返し】という技法を使う時は、是非そのあたりを頭に入れてしてください。


さて、今【共感】と言いましたが、その共感と同じくらい、いやそれ以上に大事なことがあります。

それは相手の話に【関心】を持つこと。

これにおいては、最高に『使えるあいづち』があるんです。
それはこれ。

「…って言うと?」

これだけで、相手の話はどんどん広がっていきます。
「話しているうちに、沈黙となってしまうのが怖い」という人にも、超お薦めです。

是非、試してみてください。



ところで、カウンセラーをやっていると『話を上手にできない』 という悩みをよく聞きます。
そして、その方達は、こう言います。
「やっぱり、面白く話せるっていうのは、持って生まれたものですよね~」

本当にそうでしょうか。

そういう場合、僕はこう聞いてみることがあります。
「○○さんは、自分の会話を録音して聞いたりしたことがありますか?」

実は、話に自信の無い人ほど、自分の話し方をチェックしていないんですよ。
僕の場合は、ちょくちょくラジオ番組のゲストに出たりするので、その音源をディレクターの方に送ってもらったりします。

例⇒ ZIP-FM『OPENER』  「聞き上手の扉」

そして聴きなおしてみると、これが我ながら情けない『喋り方』なんですよね。
喋っていた時の自分のイメージと、全然違うんです。

なんか、随分早口でしゃべっていたり、結構キツく聞こえる話し方をしてるんです。
とっても恥ずかしくなっちゃって、いつも自己嫌悪に陥っちゃうのですが…。

でも、それを我慢して聴くと、『あ、しまったな~。こうやって立て続けにしゃべったら、聴いてる人が考える暇が無いじゃん!』とか、『このボケのかまし方はマズイな~。やっぱりギャグは、絶対に照れて言ってはダメだな~』 とかわかるんですね。

さて、明石家さんまさんは、家では自分の出演したテレビ番組のビデオばかり見ているという話を聞いたことがあります。
「ホントにさんま師匠は、自分が好きやねぇ~」と番組で突っ込まれていました。

もちろん、自分が好きというのもあるかもしれません。
でも、実は自分が出演したビデオを見ているうちに、無意識のうちに自分の会話をチェック(フィードバック)しているから、『話を上手にできる』のではないかとも考えられます。

会話が上手くできないと思っている人には、是非一度自分の会話を録音してみる事をお薦めします。
もちろん、気楽に喋ることができる人との会話から始めないといけません。
そして録音を聴くとかなり凹むとは思いますが、でもこれをやると、徐々に会話が上手になっていくはずです。

何故なら、人間の会話っていつも違っているように見えて、意外とパターンは決まっているんですね。
ちょっとした練習で、かなりの部分をカバーできるんです。
上記に書いたあいづちの打ち方だって、練習すればいくらでも上手になれますし(カウンセラーは皆、これをテープに録っては研究し、練習しています)、このあいづちの打ち方だけでも、とっても会話が違ってきますしね。


ところで、番外編としてもう一つの【会話上達法】は、楽しく会話をする人の傍にいて、その人のパターンを真似する事です。
但し、『天然ボケ』だけは、それこそ持って生まれた才能なので、真似ができませんから、ご注意くださいね。 (ボケがウケた後で恥ずかしがる人が『天然』で、ボケがウケたあとでちょっと得意そうな人が『技術派(人工)』です)。


最後となりますが、これらを実行すれば、「会話がヘタなのは、持って生まれたものだからしょうがない」 という言葉にサヨナラができるはずです。
そして、そうなると自信を持って話せるようになり、人間関係がもっともっとよくなっていく確率はグーンとUPしていきますよ。



Copyright (C) 2015 (同)ベルコスモ・カウンセリング代表 鷲津秀樹 All Rights Reserved


好評発売中の「心の本」

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この本は、このページの筆者が大学の講義(心理学)のテキストとしても使用していた、認知療法や解決思考アプローチをわかりやすく解説した図書です。



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コミュニケーションスキルや心理カウンセリングの知識を学びたい方に、当協会ではカウンセラー講座も開いております。
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WEB講座もあります。


コミュニケーション・スキルの研修,セミナー,講演,講師

当協会には、いろいろな講演に対応できる多数の講師がいますが、ここでは例として、当協会理事の鷲津秀樹をご紹介します。

写真 ・心理カウンセラー
・コミュニケーション・コンサルタント
・NPO法人ハート・コンシャス理事
・(同)ベルコスモ・カウンセリング代表
・名城大学心理学非常勤講師
・愛知大学オープンカレッジ講師

■講演実績の一例

三重大学 教職員対象にハラスメント防止の講演
田原青年会議所 企業コミュニケーション理論講演
国分寺青年会議所 大人と子供のコミュニケーション講演
日本ポスティング協同組合 全国組合企業管理者研修会
独立行政法人雇用・能力開発機構 関東地協セミナー
上尾商工会議所青年部 エゴグラムとコミュニケーション
碧南青年会議所 人間関係の達人になる方法
南山経済人クラブ 心理から見た「好きな人にモテる方法」
名古屋市社会福祉協議会 ケアする仕事においてのコミュニケーション
集客塾 全国の有力ホテルや旅館の経営者対象の組織内コミュニケーション講座
不二サッシ全国安全大会 心理から見た安全について
長崎市介護支援専門員連絡協議会 ケアマネージャーに役立つ心理学
ゲオ ビジネスサポート コミュニケーションセミナー
日本易学連合会大阪支部総会 深層心理学
碧南市健康を守る会 ~メンタルヘルスと コミュニケーション~
名古屋市 保育リスクマネジメント研修
和歌山県 青少年インターネット依存防止啓発セミナー 基調講演
三重県保険医協会「スマホ依存の予防と対処法」
鳥羽市虐待防止ネットワーク協議会 「スマホやゲーム依存防止」
名古屋市緑区青少年育成区民大会 「ネット・スマホ・ゲーム依存の予防と対処」
愛知県一宮市消防局職員研修「パワハラ防止セミナー」


(公財)あいち男女共同参画財団セミナー 「もしかしてHSP?」
小牧市 学校・カウンセラー連絡協議会「家族や学校でできるネット・ゲーム依存にならない方法」
日本製鉄労働組合幹部研修「メンタルヘルスとコミュニケーション」
愛知県保険医協会「子どもの健康を考えるつどい」
愛知県春日井市消防局職員研修「パワハラ防止セミナー」
  他多数
また通年で各地の公共団体や学校、教育委員会のセミナーにて心理学の講義を行っています。


■講演会の感想(一部)
鷲津先生の講演内容は、参加されたメンバーからは絶賛される内容で、交流分析のセミナーを他のところで受講したメンバーからも解かり易いという評価、初めて交流分析のセミナーを受講したメンバーからは、目からうろこ状態だったよというような評価を当委員会の方から頂けました。
(大府青年会議所 指導力開発委員会委員長 沓澤孝尚氏)


数回に分けたセミナーや、企業向けセミナーもOKです。
時間も、90分の講演から半日、1日、2日通して等、ご予定にお合わせいたします。

講師料は、時間や場所(距離)によって違いますので、お気軽にお問い合わせください。

お申込みはメールまたはお電話で。 0586-73-3911 info@npo-jisedai.org


ZIP-FMに心理カウンセラーとしてゲスト出演 ZIP-FMに心理カウンセラーとしてゲスト出演
音声内容はこちら↓をクリックしてください。
2011年10月mp3 「愛を深め合う扉」
2011年12月mp3 「恋と嘘の扉」
2013年 6月mp3 「夫婦円満の扉」
2013年 8月mp3 「聞き上手の扉」
2013年12月mp3 「楽しい子育ての扉」
2014年 4月mp3 「表情で得する扉」
2014年 9月mp3 「復縁の扉」
2014年12月mp3 「褒め上手の扉」
2015年 3月mp3 「自己アピールの扉」
2018年 1月mp3 「先延ばしの心理」


ZIP-FM公開生放送にゲスト出演

平成30年3月29日にZIP-FM(77.8)公開放送にゲスト出演しました

番組名:「SMILE HEART BEAT」
パーソナリティ MISATO
 

 

和歌山県主催のネット依存防止セミナーの講師を務めました

平成30年1月28日(土)に和歌山県主催の「ネット依存防止セミナー」が開かれ、講師を務めました。
https://npo-jisedai.org/2018wakayama.pdf






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ZIP-FM(77.8)にゲスト出演しました。平成30年1月17日(土)

番組名:Midnight chrome(ミッドナイトクローム)
出演:Cellchrome(セルクローム)
「Cellchromeが今夜調べてみました」
~どうして人は面倒なことを先延ばしにするの?~


 

 

稲沢市広報に掲載されました

稲沢市の「いじめ・不登校対策委員会」主催の小中学校の先生方の研修会で、『ネットいじめ』について講演させていただいた内容が、稲沢市の広報で紹介されました。
https://npo-jisedai.org/inazawa.pdf






名古屋テレビの報道番組「UP!」でコメントしました。

名古屋テレビの報道番組「UP!」で、ネット・スマホゲームの問題点についてお話しました。(2016.8.25)




名古屋市「保育リスクマネジメント研修」の講師を務めました。

名古屋市の約200名の保育士の方々に、保育リスクマネジメントのお話をさせていただきました。(2016.8.24)






碧南市広報に掲載されました。


碧南市の医師会、歯科医師会、薬剤師会と行政が一体となった「碧南市健康を守る会」の総会で、代表の鷲津秀樹が講演させていただいた内容が、碧南市の広報で紹介されました。
https://npo-jisedai.org/hekinan.pdf






稲沢市広報に掲載されました

稲沢市の「いじめ・不登校対策委員会」主催の稲沢市の小中学校の先生方の研修会で、 『ネット・スマホ依存』について講演させていただいた内容が、稲沢市の広報で紹介されました。
https://npo-jisedai.org/27inazawa.pdf






交流分析・エゴグラム セミナー サンプル

子育てセミナー(ABA 応用行動分析) サンプル



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