5歳児健診 アスペルガーやADHD等の発達障碍の判別と対処 NPO日本次世代育成支援協会
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5歳児健診
こども家庭庁は25年度から、早期に障碍がある子どもを支援し症状の改善につなげるため、発達障碍の可能性を見極めるのに有効な「5歳児健診」の普及(現在は1歳半と3歳児の健診のような義受診ではなく任意受診)に乗り出します。
これは子育てを頑張っている親御さんにとって、とても助けになることでしょう。
私たちNPO日本次世代育成支援協会のカウンセリングにおいても、お子さんの発達障碍についての不安を抱える方も多くいらっしゃいます。
「何か違う」とか、「どうして上手くいかないのか」という思いを抱え、医療機関や公的機関に相談しても、3歳児検診では極端な以上は見つからずに「もう少し様子を見ましょう」とか「そんなに不安にならなくても大丈夫ですよ」と言われ続けている人。
また、保育園や幼稚園から根拠もなく「お子さんは発達障碍か、グレーゾーンじゃないですか」と言われ、どうしたらよいかわからず自分のメンタルに影響が出たり、家族の間がぎすぎすしてきたりして悩んでいる人。
そのような方々にとっては、判断のモノサシや進む方向を示す地図のような意味があるのではないかと思われます。
3歳児の時点でははっきりとしなくても、5歳児になるとわかってくることがいろいろとあります。
また、こども家庭庁は自治体には発達障碍と判明した場合、子どもが在籍する保育所などで個別の支援計画を作るよう要請しています。
この流れで、地域で発達障碍がある子どもを支援する体制が作られるようになることが望まれます。
発達障碍に上手く対処できるかが課題
ただ、ここで大きな問題があります。
発達障碍と判明したとして、もしそうならそれに上手く対処できる体制が早急にできるかということです。
発達障碍というのは『行動の問題』なんですね。
これは意外と知られていなくて、多くの方は『生まれつきの脳の問題』ということばかりに意識が行っているので、持って行き方次第で何とかなることでも、逆に悪循環に巻き込まれて悪い方へ悪い方へといってしまっているケースが本当に多いのです。
意識すべきなのは『行動の問題』であって、そしてもう一つとても重要なのは『その行動で誰が大きな迷惑を被っているか』ということです。
極論を言うと、ある人の行動が偏っていたとしても、それで誰も迷惑を被っていない場合は、これはその人は発達障碍とは言えないということになります。
もっとも、人間は誰でも多少は人に迷惑をかけて生きていますし、ここで考えなければいけないのは、下図の関係です。
この場合は、ある人と付き合ったとして、その付き合った人が受けるデメリットは、受けるデメリットより大きいので【迷惑】ということになります。
しかし下図の場合は如何でしょう?
すなわちAさんが例えば整理整頓がすごく苦手で、いつもBさんがその尻拭いをしていたとしても、Bさんはその迷惑以上のメリット(例えば仕事上で素晴らしいアイデアをよく貰うとか)をAさんから受けていたとしたら?
この場合は、許されてしまうことが多いんですね。
研究者や芸術家では、このパターンというのはそんなに珍しいことではありません。
また、例えば整理整頓が上手くできない子がいたとします。
そして
・同じく整理整頓できない親
の場合と
・完全主義でなんでもきちっとしていないと神経が持たない親
の場合では、『迷惑』を感じる度合いは全然違ってくるでしょう。
こうやって考えると、発達障碍というのは『人の問題』というよりは『関係性の問題』として捉えた方が上手くいく可能性が広がるのではないでしょうか。
つまり、そもそも「発達障碍」というネーミングがあまり良くないのではないかと筆者は考えています。
「発達障碍」という言葉のイメージは『人』の問題となりやすいですし、その人のHAPPYに向かう方法があっても、それに本人も周囲も気付きにくくさせているんですね。
上記のように、発達障碍は『行動の問題』であるし、なおかつその問題は『周囲(環境)との相互関係』にかなり依るところが大きいのであるなら、「発達障碍」という名前をやめて「凸凹極端特性+環境との相性問題」症候群とネーミングした方がよいと思うのです。
さて、「解決志向アプローチ」とか「システムズ・アプローチ」という心理療法に長けたカウンセラーの中には、そのような考え方で上手く対処していく人がいます。
それと同時に子育てにおいて、特に発達障碍の子どもにおいて、とても重要なのは『応用行動分析』という理論です。
これにより、かなりの多くの問題行動は縮小されます。
「もっと早くこれを学んでいれば」という声は、もう数知れないくらい沢山聞きました。
さて、私たちNPO日本次世代育成支援協会は、この5歳児健診が広がるのをきっかけに、もっともっとこのような役立つ心理学を多くの親御さんに届けていきたいと思っています。
悩んでおられる方に、少しでも役立つ知識や知恵を伝えられたら幸いです。
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この内容はNPO日本次世代育成支援協会の鷲津が、講義の内容を元に書いております。著作権は合同会社ベルコスモ・カウンセリングにありますので、無断使用、複写等はできません。ご了承ください。
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参考資料「5歳児健康診断マニュアル」
公益社団法人日本小児科医会ホームページ「5歳児健康診断マニュアル」より抜粋
令和3年度 ~5年度 こども家庭科学研究費補助金 成育疾患克服等次世代育成基盤研究事業
身体的・精神的・社会的(biopsychosocial)に乳幼児・学童・思春期の健やかな成長・発達をポピュレーションアプローチで切れ目なく支援するための社会実装化研究(研究代表者 永光信一郎)
研究分担者:小枝達也 小倉加恵子 研究協力 者:是松聖悟
項目は、下記の6項目
1.身体発育状況
2.栄養状態
3.精神発達の状況
4.言語障害の有無
5.育児上問題となる事項の確認
6.その他の疾病及び異常の有無
目的は個人の成長や発達の診察だけでなく、社会的な発達の状況を把握し、発達障碍(注意欠如多動症、自閉スペクトラム症、知的発達症、場面緘黙症等)の早期発見等につなげることにあります。
したがって、マニュアルでは「精神発達の状況」「言語障害の有無」「社会性の発達」などを重要なポイントとしています。
方法としては多職種(医師、保健師、心理担当職員等)でチームを組む「集団健診方式」が推奨されており、保健センター等で行う方式や保育所・幼稚園・認定こども園等を巡回する巡回方式などを組み合わせて実施するケースもあります。
1.事前カンファレンス
2.問診 (発達状態の確認、こども自身の困り感、親の育児不安)
3.計測(身長、体重他)
4.医師の診察
5.保健指導および専門相談
6.健診後カンファレンス
a.既往歴
b.精神・神経発達(理解)に関する設問
c.情緒・行動に関する設問
d.生活習慣に関する設問
e.メディア視聴や睡眠に関する設問
f.子育ての状況に関する設問
g.親(主な養育者)に関する設問
h.事故予防
診察
医師や保健師等がこどもと会話をしたり、所作を指示し、その様子や反応を医師が評価します。
1.身体的発育異常
2.運動機能異常(粗大運動・微細運動)
3.感覚器・その他の異常(目および耳と発音)
4.理解に関する課題
5.皮膚の異常
6.情緒・行動について
(不安や恐れ、かんしゃくや粗暴な行動、多動、仲間関係)
7.こどもの遊びについて
8.生活習慣について
所見を保護者と共有するための質問
理解に関する課題があると感じたこどもの場合の質問の例
1. 今日、答えられなかったのは、たまたまですか?
2. 言葉の発達が少し遅いと感じられたことはありませんか?
3. お母さんやお父さんの指示がピンときていないことはありませんか?
4. 保育所や幼稚園で、みんなに出した指示が理解できていますか?
5. ルールの理解が遅いと感じますか?
6. 会話をしていてずれると思ったことがありますか?
多動(落ち着きがない)/不注意だと感じたこどもの場合の質問の例
1. 落ち着きがないと思いますか?
2. 思いついたらやらずにいられない、といった感じの行動が目立ちますか?
3. 10分くらいなら静かに座っていることができますか?
4. 人の話を聞いていないことが多いですか?
5. 順番が待てないことが多いですか?
6. 初めての場所や人でも平気ですか?
7. よくしゃべりますか?
仲間関係の問題がある(対人関係が苦手だ)と感じたこどもの場合の質問の例
1. 大人びた話し方や言葉を使いますか?
2. 人が気にしていることを無頓着に言ったりしますか?
3. 親に対しても、ていねいな言葉を使いますか?
4. とても早い時期から平仮名や数字が読めましたか?
5. 自分流の決め事を作りやすいですか?
6. 一人遊びが多いですか?
7. こだわりは強くないですか?
8. 図鑑やカタログ、ロゴなどを非常に好みますか?
9. とても好む感覚や遊びなどがありますか?
10. とても不安がったり、怖がったりする感覚などがありますか?
第4節 判定について
1.医師の所見による判定
異常なし
既医療(既に医療機関にかかっている)
要紹介(要精密・要治療)
要精密の例
情緒・行動の項目で異常が指摘されているにもかかわらず、未治療の場合
要経過観察(要療育を含む)の例
言語聴覚士や作業療法士などによる療育が必要と判断される場合
2.子育て支援の必要性の判定
医師、保健師、管理栄養士、心理担当職員、保育士等、教育関係者などの関係者が、健診時に見聞きした情報を持ち寄って総合的に行います。
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愛知県保険医協会「子どもの健康を考えるつどい」
愛知県保険医協会主催の「第34回 子どもの健康を考えるつどい」において、「コロナ禍が及ぼす子どもたちの心への影響と、その対処法」というテーマで講師を務めました。ネット・スマホ・ゲーム依存の問題が、新型コロナの影響により激増しています。 依存というのは、「習慣」というのがキーワードとなるのですが、自粛もこれだけ続くと、ストレス回避のためにネットや動画、そしてゲームを長時間やることにより習慣となってしまう可能性が高まります。 家族で話し合い、依存症となってしまうリスクを少しでも減らすことが重要です。