子どもの学習障害(LD) 発達障害カウンセリング NPO日本次世代育成支援協会
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子どもの学習障害(LD)
「子どもが何か障害があるのではないかと心配…」
こう相談に来られる方が年々増えています。
心配されているお子さんの内容はというと、
・忘れ物が多い
・整理整頓ができない
・すぐにイライラする
・集中力がない
・かなり自己中心的である
・待つことができない
・思いついたことをすぐに口に出したり、行動したりする
・あきらめが早すぎる
・先生の話をしっかり聞けない
・注意がすぐに逸れる
・計画を立てられない 立てても実行できない
また、こういうパターンも多くあります。
・食べるのが遅い
・不器用だ
・少数の子どもとしか遊べない
・苦手なことはすぐ避ける
・話の内容が飛んだり脈絡がない
・あいまいな話を理解できない
・場の空気が読めない
・好みや行動がこだわりすぎる
学習に関しては
・本を読む時、字や行を飛ばしたり、勝手な解釈をする
・左右反対の字を書く
・板書をノートに書ききれない
・暗算が苦手
・文章問題になると急にできなくなる
・絵がとても苦手
・工作がとても苦手
・理解はできるのだが、片っ端から忘れる
もちろんお母さんの思い過ごしの場合も多いのですが、中には確かにオヤッ?というケースがあります。
そういう場合は、早めに専門機関に相談されてみてはいかがでしょうか。
まずはLDの定義から。
学習障害とは、基本的には全般的な知的発達には遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算するまたは推論する能力のうち、特定のものの習得と使用に著しい困難を示す状態を指すものである。
学習障害はその原因として、中枢神経に何らかの機能障害があると推定されるが、視覚障害、聴覚障害、知的障害、情緒障害などの障害や、環境的な要因が直接の原因となるものではない。(平成11年 文部科学省)
つまり、何かの部分が『超苦手』ということですね。
そして、それは『しつけ』とか『努力』の問題ではなく、脳生理学的な問題であるということです。
また、この文科省に文言には入っていませんが、『多動や注意欠陥』というADHDのような特徴、『コミュニケーションが上手く取れない』という高機能自閉症のような特徴、また運動発達においての遅れが見かけられることもあります。(下記の当協会のページをご参考ください。ADHD⇒https://npo-jisedai.org/ADHD.html アスペルガー⇒https//npo-jisedai.org/aspe.html )
また、ADHDやアスペルガーの人に有効な対処法は、LDの対処法としても有効なものが多いので、そちらも参考にしてください。
さて、LDは大きくわけると次のような問題となって表れてきます。
・学力の問題(読み、書き、計算等)
・コミュニケーションに関わる問題(聞く、話す、察する、周囲との調和 等)
・情緒の問題(衝動性、多動、不注意等)
また、下記のような分類法もあります。
・言語性 言葉や文章の意味理解に困難
・非言語性 視知覚、空間認知に困難(文字も形態認知なので非言語性)
・混合性 言語性、非言語性を併せ持つ
この2番目の『非言語性』のカッコの中が注意点なんですね。
例えば、『読み書きができない』からと、国語の練習ばかりさせていたら、実は形態認知、つまり字の形を認知する脳の部分がトラブっていたというケースがあるんです。
よく迷子になったり、地図が理解できない場合は、国語ができないのではなく、『形』を認知するのが苦手ではないか、一度心理テスト(WISC-IV等)を受けて調べてみたほうがよいと思われます。
ところで、LDにおいて真に厄介なのは、二次障害と呼ばれているものなんですね。
何かというと、例えば『他のことはできているのに、ある特定のことだけとってもできない』となると、「ホントは出来るのに、さぼっているんではないか?」と疑われたり、「他の先生の教科はよくできるのに、私の教えることだけさっぱり出来ないというのは、私のことを凄く嫌っているのではないか?」と先生に誤解されたりすることがよくあるんですね。
つまり他の子ども(人)よりも叱られることが多く、【 I am not OK 】 の枠組みに陥りやすいんです。
この【 I am not OK 】 が二次障害です。
また、多動や不注意、またはコミュニケーションにおいて場の空気を読み取ることが苦手、などが原因となり『いじめ』に繋がっていくことも多々あります。
この場合も、やはり【 I am not OK 】という強固な枠組みが形成されてしまいます。
LD児ODD(反抗挑戦性障害)、そしてCD(行為障害=非行や刑法犯)となり、最後にはAPD(反社会性人格障害)となっていく例も多いのです。
実際、『学校が嫌い』とか、『勉強をやりたくない』、また『クラスメイトとすぐにトラブルになる』、『先生にいつも怒られたり馬鹿にされたり嫌われたりする』等の理由で不登校となる子ども達の中には、周囲のLDについての知識の無さが原因となるケースを多く見かけます。
LDの原因は?
子育てに関する講演や、子育てのカウンセリングにおいて、最近よく聞かれるのが「どうしてLDになっちゃったんでしょう?」という質問です。
これには色々なことが考えられます。
例えば出産の際のトラブルや、超未熟児であったとか、幼児の時に重い病気になった場合などは、それが影響しているのかもしれません。
また、例えば類似するADHDでは、ADHD児の親の3割はADHDの要素があるという研究もあり、遺伝的なこともあるのでしょう。
医薬品や農薬などの化学物質、また食品添加物などが発達に色々な影響を及ぼすということも研究発表されています。
ただはっきり言えるのは、躾とかの育て方が原因で発達障害になるということではないというのは、明らかにされています。
しかし、LDやADHDの素因を持った子どもが、環境によって大変問題な行動を取る人となってしまったり、殆ど問題なく返って長所を活かし、社会的に成功する人となったりすることはありますから、育て方や接し方が大変重要であることは間違いありません。
「とても『個性』とは思えない」と嘆かれる親も多いのですが(確かに苦労されている気持ちはわかりますが)、嘆いたところでその子の行動が明るい方向に変容する確率は、本当に少ないんですね。
LD児に多い『こだわり』や『特定の習慣や手順への固執』を、「自分勝手」とか「人の言う事に聞く耳を持たない」と非難していても、親や先生の望む子どもになる可能性は大変低いんです。
それよりも、やはり【可能性】を信じるということは、とっても大事だと思います。
例えば、これはADHD児にもあてはまりますが、もし子どもが『衝動性が強い』場合、それは『思いをすぐに行動に移す実行力』や、『新奇探求性や好奇心に溢れ、新しいことを考えたりチャレンジする力』を持っているということなんです。
ただ、経験が少ないから、失敗が多いだけなんですね。
『多動』というのも、『活動的』ということですし、『飽きやすい』という特性も、うまく伸ばせば『気分転換が上手』ということになります。
さて、これもよく聞く声なのですが、「本に書いてあることはきれい事ばかりで、実際には役に立たない内容が多い」ということについて少し僕の考えを書きますね。
実は僕自身がADHDの傾向がかなり強い人間なんです。
小学生の頃は通知表にいつも『情緒不安定』とか『落ち着きが無い』とか『飽きっぽい』とか書かれていました。
ただ、僕の場合幸いだったのは、昔はそんなに管理社会じゃなかったし、親もどちらかというと放任主義だったので、自分に合ったやり方をかなり自由にやれたことだと思います。
例えば、机の前に長時間座っていることがとっても苦痛だったので、本は大抵寝転がって読んでいました。
(これは今でもそうですね。机の前に座っているのはパソコンの打ち込みをしている時くらいのものです。いえ、パソコンの打ち込みも寝転がってノートパソコンでやっている時もあるくらいです。)
その本を読むのでも、1つの本をじっくり読んでいくことができません。
10分くらい読んだら、もう飽きてしまって読むのが嫌になっちゃうんですね。
だからどうするかと言うと、複数の本を10ページ読んだら別の本、という感じで平行して読み進めていく方法をとっています。
例えば今は講演で『いじめ』について話してほしいという要望が多いので、それに関する本がベッドの周囲に6冊転がっています。
それをパラパラと適当にチェンジしながら読んでいくと、結果的には読み終えることができるというワケです。
(これはこれでメリットがあります。同じ『いじめ』ということについて書いてあっても見解の相違がありますし、逆に根本的に重要なことはやはり同じことが書いてあるため、重複して読むこととなり、頭に残っていくんです。)
【合ったやり方】が大事なんですね。
大抵の場合は【その子が悪い】のではなく【やり方が悪い】んです。
例を挙げましょうか。
LD児には、あいまいな表現を理解するのが苦手な子を多く見かけられます。
そういう子に、「ちゃんと頑張りなさい」と親や先生が言っても、その子にしてみれば『何をちゃんとすればいいのか』『どうやって頑張ればいいのか』さっぱりわからずに返って動けなくなったりする場合が有るんです。
そして、その動けない子を見て大人がイライラしたりすると、これで二次障害の悪循環の始まりですね。
本当に細部までしっかりと具体的に、親や先生が言わなくてはならないんです。
特に高機能自閉症に親和性のある子どもには、これが大切です。
文脈を読み取るのが苦手なので、『皮肉』や『比喩』が通じにくく、言葉をそのとおりに受け取ってしまう場合があります。
大人からは、その子が自分勝手に行動しているように見えた時、「随分まわりに気を使っているんだね」などと皮肉を言うと、皮肉が通じず返ってその行動を強化することになりかねません。
「自分の席のまわりを片付けなさい」と言われ、机の上のゴチャゴチャはそのままに、椅子の周辺の床だけを片付ける子もいます。
これを先生が「ふざけるのもいい加減にしろ!」と怒ると、なぜ怒られたのかも理解できないまま、I am not OK になっていくということになり、大人への不信感が増していきます。
表現が上手にできない子も数多く見られます。
例えば、他の子にちょっかいを出したり、つついたり叩いたりしてトラブる子は、自分の気持ちを上手く表現できない為、そういう行動に出てしまいます。
まずは自分の気持ちがどういうものなのか、それを一緒に考え、そして『かまってほしい時』はどのように表現したらいいのか、『他の子に邪魔をされたくない時』は、その気持ちをどう伝えたらいいのか、それらを具体的に、実際の言葉で言えるように教えていかなければなりません。
『自分の欲求を攻撃的な行動でかなえようとすると、結局は損をする』
『自分の欲求を上手に表現できると得をする』
というのを、いかにしっかりと理解させるかが重要です。
LD児は体験することにより理解していくことが多いんですね。
「計画を立てなさい」と言われても、自分だけで立ててしまうと、ついついいい加減な計画になっちゃうから、結局グチャグチャになって返って怒られたりしちゃうんです。
【しっかりした計画の立て方】から教え、それを実行した暁にはとってもほめることにより、初めて身に着くんです。
また、LD児には、その子に合ったスピードが大事です。
作業記憶(次の何かに取り掛かった時、前のしていた事を覚えておくことのできる能力)に問題のある子が多いのですが、そんな場合は一つ一つのことについてメモをとったり、付箋紙に書き貼り付けていったりする時間が必要です。
その子その子に合ったやり方を、いかに適切に周囲と本人が発見していくかが勝負所ではないでしょうか。
追記
LDだけではなく、広汎性発達障害のお子さんをお持ちのお母さんやお父さんには、その発達障害についての知識不足や周囲の理解の無さにより、『過剰な自責』『周囲の反応に神経を消耗』『体調不良』などの状態になってしまうケースがよくあります。
『不安障害』となり心療内科へ通う親も少なくありません。
悪循環に陥る前に、発達障害に詳しい医師やカウンセラーに相談しましょう。
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この内容はNPO日本次世代育成支援協会の鷲津が、愛知大学OCでの講義の内容を元に書いております。
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発達障碍(ADHD)セミナー その1
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