応用行動分析(ABA) 子育てに凄く役に立つ心理学 NPO日本次世代育成支援協会
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愛知県保険医協会「子どもの健康を考えるつどい」
愛知県保険医協会主催の「第34回 子どもの健康を考えるつどい」において、「コロナ禍が及ぼす子どもたちの心への影響と、その対処法」というテーマで講師を務めました。ネット・スマホ・ゲーム依存の問題が、新型コロナの影響により激増しています。 依存というのは、「習慣」というのがキーワードとなるのですが、自粛もこれだけ続くと、ストレス回避のためにネットや動画、そしてゲームを長時間やることにより習慣となってしまう可能性が高まります。 家族で話し合い、依存症となってしまうリスクを少しでも減らすことが重要です。
応用行動分析(ABA) 子育てに凄く役に立つ心理学
このページでは、子育てにおいてすごく効果のある心理学、応用行動分析(ABA)についてNPO日本次世代育成支援協会の鷲津がお話します。 応用行動分析とは、オペラント条件づけを背景にして考案された技法です。 まずは、子育てにおいて陥りやすい注意点。 『犯人捜し』 我々は何事においても、すぐに因果関係を考えたくなっちゃうんですよ。 例えば、『子どもが怒りっぽい』としますね。 するとすぐにお母さんは『わたしが甘やかして育てたから』とか考えちゃうんです。 でも、行動分析では犯人捜しはあまりやりません。 そうじゃなくて、行動の前と後に何が有ったかを見るんです。 この場合で言うと、『子どもが怒った後に何があったか』ということですね。 例えば子どもが怒ったあとに、親がそれをなだめようとしてお菓子をあげたり、気を遣ったりしていたとします。 それを『甘やかして育てた』とか責めたりせず、シンプルに『怒ったあとに○○というメリットがあった』と、そう捉えるわけです。 さて、この話を進める前に、『行動』ということについて、少し堅苦しい話をさせてください。 先程、行動分析というのは行動の前と後に何が有ったかを見ると言いましたが、その流れのことを行動随伴性と言います。 例えば子どもがお手伝いをしたとしましょうか。 そしてご褒美にお菓子をあげたとします。 するとこの流れは、お菓子が無い状態、お手伝いをする、お菓子がある状態、という流れとなりますよね。 では今度は、ご褒美ではなく罰を与えられる場合で考えてみましょう。 例えばこの画面の例では…。 本来だと勉強をやる場面だとしますね。 なのにゲームをする、叱られる、という流れになります。 さて、ご褒美にお菓子をもらうと、お手伝いをすることが増えたとします。 だとすると、お菓子をあげるというのは、その行動を強化することになりますね。 逆にゲームをしたあとに叱られたら、ゲームをしなくなったとしますね。 この場合は、叱るということが行動を弱化したということです。 これらをまとめるとこうなります。行動の後に、その人にとって『快』があると行動は強化され、行動の後に『不快』があると、行動は弱化されるということなんです。 これは別に子供だけに当てはまる話ではありません。 大人だってそうです。 例えば僕の立場でいきましょうか。 仕事の帰り道、赤ちょうちんを見て僕はふらふらと飲み屋さんに入りました(行動)。 ↓ そしてその店はとっても明るくて優しい店員さんがいて、僕はとっても楽しくお酒を飲めたとします(快)。 ↓ すると僕は、その赤ちょうちんを見ると、飲み屋に入りたくなってしまい、ついついそこに通うようになってしまう(行動が強化)ということですね。 ちなみにこのケースで言うと、飲み屋に入るきっかけとなった『赤ちょうちん』を『先行刺激』と呼んでいます。 しかし逆に、 赤ちょうちんを見て僕はふらふらと飲み屋さんに入りました(行動)。 ↓ 対して飲んでいないのに、怖いお兄さんがいてぼったくられた(不快)とします。 ↓ すると僕は、その赤ちょうちんを見ても、飲み屋に入りたくなくなってしまいます(行動が弱化⇒消滅)。 さて僕みたいなおっさんの話をしていてもしょうがないので、ここはお子さんの勉強の話をこれで考えていきましょうか。 先行刺激というのは、行動を促すものだと考えてください。 例えば『宿題をやりなさい』と子どもに言った場合、それが先行刺激となります。 そして、子どもが行動した、つまり宿題をやったとしますね。 その後に『はい、ご褒美のケーキ』とケーキをあげたとしたら、これが後続刺激となります。 では、宿題をやらなかった場合は…。 やらなかったら、どうします? 叱りますよね。 その場合は、その『叱る』ということが後続刺激となります。 ということは、これは言い方があまり良くないかもしれませんが、『快』や『不快』というものを利用して行動を変容させると言ってもいいかもしれませんね。 ところで、今度はこの図を見てください。 左側に『目標』というのがありますね。 ここは凄く重要なんですけど。例えば子どもが数学が苦手で、いつもテストで10点とか20点しか取れなかったとしますね。 さぁ、どんな目標にしましょう? そうすると、こういう答えがよく出てくるんです。 「テストで50点以上取ること!」 そうなっちゃうんですよね~。 一般的には、その考え方でもちろんOKです。 でも、行動分析では、それを目標としないんですよ。 なぜなら50点というのは、『行動』ではなく、行動の『結果』だから。 この図では、目標の矢印は『行動』に向いていますよね。 …ということは、50点というのは願望であって、その50点を取る為の行動を目標として掲げましょうってことなんです。 先程も言いましたが、普通は50点を目標にしても何もおかしくありませんよ。 ただ行動分析では、『行動』を目標にしましょうという話です。 さて、今は数学についてでしたが、この図では英語にしてあります。 『英語の成績が3なのを4にする』というのを目標にするのではなく、其の為の行動、例えば『毎日英単語を三つ覚える』というように目標設定をすることが大事だということです。 それにね、こうすると上手くいかない時に、修正しやすいんですよ。 フィードバックして絶えず修正し、最終の目的に到達するぞ! ということです。 この考え方をサイバネティクスと言うのですが。 さて、望ましい行動に変容してもらう為には、先行刺激と後続刺激が重要となってきます。 もうこの二つの言葉は、OKですよね。 先行刺激というのは、望ましい行動に結びつける為に出すわけで、また後続刺激というのは望ましい行動を続けさせる(若しくは望ましくない行動を減少させる)為に出すわけです。 では、今度は例を変えて整理整頓について考えてみましょうか。 まず、この図では『片付けなさい』という指示が先行刺激となっています。 それを聞いて子どもが部屋を片付けたとしたら、『ほめる』という後続刺激となっていますね。 このような、行動を継続させていくものを強化刺激と言います。 しかし、片付けずに遊んでいる(注1)場合は『しかる』という後続刺激に進みます。 不快を感じさせて、遊んでいるという行動を弱化させるわけです(これを嫌悪刺激と言います)。 どちらにしろ、行動の後の刺激により、行動に影響を与えて変容させようとするということですね。 (ここで「片づけない」と書かずに「片づけずに遊ぶ」と書いたのは意味があります。専門的な話になるのでここでは省いていますが、興味のある方は下部の【注1】をご覧ください) 心理カウンセラー養成講座はWEB講座もあります。↓ https://npo-jisedai.org/webkouza.html
その子にとって望ましい方向へ!
さて、よく叱るより褒めろと言いますよね。 今度はそれについてお話しましょうか。 これは何もお母さんやお父さんに、『やさしくあれ!』と言っているわけじゃないんです。 行動をその子にとって望ましい方向へ変容させるというのが目的なら、叱るという後続刺激よりも褒めるという後続刺激の方が、圧倒的に効率がいいんですよ。 本当に、何倍も効率がいい。 ここに書かれているのが、その理由です。 まず第一に、叱られるというのは、結構簡単に馴れてしまうんですね。 右の耳から左の耳へ、というやつです。 ところが、褒められるというのは意外に馴れないんですね。 例えば僕は愛知大学の社会人講座の時に、子育てを勉強したくて参加されているお母さんに、 「ちょっと伺いますけど、『素敵だね』とご主人に言われた時に、『もう、その言葉は聞き飽きた』とか言いますか?」 と聞いたりします。 そうすると聞かれた女性は即座にこう答えるケースが多いんですね。 「馴れるなんてとんでもない!どれだけでも言ってほしいです(笑)」 そうなんです。 褒められるっていうのは、馴化が起こりにくいんですよね。 さて、二番目は消失という問題です。 例えば食後の歯磨きという行動について考えてみましょうか。 その場合、叱られた時だけ磨く、叱られなかったら磨かないということです。 褒められない場合もこの行動の消失ということが起こり得ますが、叱られるというケースはこの問題が顕著に出るんですよね。 三番目の『回避にエネルギーを使う』というのは、歯磨きをやらないですむように、いろんな手を使って回避を頑張るということです。 磨いたふりをするとかにね。 中にはわざと歯磨き粉を唇に付けちゃうとか…。 そこまでエネルギーを使うんなら、返って磨いた方が早くないか?って気もするんですけど。 そして四つ目。 これが重要なんですね。 歯を磨かない時に叱りますよね。 そしたら、それを繰り返しているうちに、歯磨きという行動が嫌いになっちゃう場合が多いんです。 逆に、歯を磨いた時に褒めると、歯磨きが段々好きになる。 この違いは凄く大きいんですよね。 しかも、こういう問題もあるんですね。 人は褒められると、新たなことにチャレンジしようという気になるんです。 自信もついていきますしね。 ところが、怒られてばかりいると、チャレンジするどころか、何かにつけ回避するようになっていくんです。 そしてモデリングということも考えなくてはなりません。 モデリングとは、この場合、親の考え方や行動を子どもが取り入れていくということなんですが、親が子どもをよく褒めて育てた場合は、その子も人を褒めるのが上手になります。 当然と言えば当然ですよね。 どんな時にどう褒めればいいのかが、子どもの頃から身に付いちゃっているんですから。 ところが褒められずに育った場合は、そもそも褒め言葉のボキャブラリィが少ないんですよ。 よく、『子どもをどう褒めていいのかわからない』とか、『わたしは褒めるのが下手』という親御さんがいますが、そういう人は殆どが褒められ足りていない人なんです。 逆に、子どもの頃に怒られてばかりいたので、自分もそれを無意識のうちにモデリングしちゃって、怒りで物事を解決するというパターンに、ついついなっちゃうんですよ。 ほんと怖いんですよね、モデリングって…。 さて、ここまでは「後悔しない子育て法」(鷲津秀樹著)から引用改変して応用行動分析についてお話しましたが、この理論は別に子育てだけではなく、仕事にも家庭にも、人間が関係するシチュエーションではとても役に立ちます。 ここではほんの少ししかご紹介できませんでしたが、少しでもお役にたてましたら幸いです。 好評発売中の子育て心理学 「もっと早く知りたかった」と言われる子育て心理学~応用行動分析・交流分析~」 鷲津秀樹著 (お求めはアマゾンで↑) この本はNPO日本次世代育成支援協会の心理学セミナーなどにおいて、発達障碍についてお話した内容をまとめたものです。 子育てに役立つ応用行動分析を、セミナーの講義のように口語形式で図を交えながらわかりやすく書いてあります。
下記のビデオも宜しければご覧ください。
お役に立てる心理学の本です。↓
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この内容はNPO日本次世代育成支援協会の鷲津が、愛知大学OCでの講義の内容を元に書いております。
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【注1】
行動分析において、『行動とは何か』という問いに対する答えとして、有名な「死人テスト」というのがあります。
これは簡単に言うと「死人にできないこと」が『行動』であって、「~される(受け身 例 殴られる)」、「~している(状態 例 寝ている)」、「~しない(否定形 例 言わない)」などは死人にも出来るから、それは『行動』ではない、という定義です。
そして『行動』でないものなら、それは動機付けとか変容はできない…、となるわけですね(これは応用行動分析の本にはたいてい書いてありますし、またそう言っておられる先生方が多いのです)。
しかしここで僕は少し述べたいことがあります。
ということでここで思考実験として、下記の文を考えてみました。
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二人の間にきまずい空気が流れたその時、窓の外から祭囃子が聞こえてきた。
愛菜は、目を輝かし昭雄に声をかけた。
「見に行こうよ!」
しかし昭雄は、何も言わずじっと畳の上に横になっている。
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一般的に本に書かれている定義では、この昭雄の状況は『行動』ではないということになりますよね。
もう一つ。
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今日も健太は学校にも行かず、夕方の5時頃起きてきた。
そしていきなり母の部屋に入り、「どうして俺がこんなに苦しんでいるのに、お前は平気な顔をしていられるんだ!」と叫び母を後ろから殴った。
しかし母は黙って殴られたままであった。
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この母の状況も『行動』ではない?
さて、話は少し変わりますが行動理論では
「行動とは認知や思考、感情反応も含む」
とも定義されています。
つまり目に見える行動(顕在的行動)だけではなく、人の思いも内潜的行動と考えるワケですね。
これは亡くなられた久野能弘金沢大学名誉教授がよく言っておられたことです。
(「だから、認知行動療法ってわざわざ言わなくても、認知は行動に含まれるから行動療法でいいんだよ」って)
さて、ここです。
だとしたら、上記の例の「昭雄」や「母」は行動していることにならないか、という疑問が出てこなくてはならないと思うんですよね(どう見ても、昭雄にも母にも『思い(内潜的行動)』は有りそうですから)。
だとしたら、この2つの例は『介入』できるということになります。
もちろん、行動分析において「死人テスト」が重要だというのはわかります。
行動として観測、測定できないと、確かに行動心理学としてはやりにくくなりますからね。
ただ、日本経済新聞に「起業」をテーマにしたノーベル賞受賞者の中村修二博士の話が載っていて、そこにこういう言葉がありました。
「学術研究が中心の日本の大学教授は、本や論文の知識を学生に教えている。それは歴史を教えているにすぎない。」
(日経新聞より引用)
これは本当にその通りだと思います。
僕の事務所と家には心理学の本が2千冊弱あるのですが、そのうちの日本の著者の本の9割くらいは、やれフロイトがああ言った、ベックがこう言った、スキナーはこんなことを研究した、アメリカの実験ではこんなことがわかったと、『他人』の話ばかり書かれているんです(つまり、中村先生の言わんとされる『歴史』や『地図』を教えているだけ、となります)。
しかもそれに対して疑問を持ったり、ツッコミを入れたり、新しい自分の考えを言ったりしていない本が如何に多いことか、感心してしまうくらいです。
だからここに書いた「死人テスト」に対する疑問について、わかりやすく説明している日本の行動分析の本とかは、本屋さんではあまりお目にかかりません。
となると中村修二博士の仰るところの、「『歴史』を教える本」がとても多いということなんですね。
その「歴史」に対しても、故梅原猛先生は「疑え」と言っておられましたが…。
ちなみに、システムズ・アプローチでは「『無言』もコミュニケーションの一つである」と考えており、そうなると先ほど書いた2つの例は、しっかりと『行動』としてカウンセラーは考える必要があることになります。
さて、ここで言いたいのは「どちらが正しく、どちらが間違っているか」とかいうことではありません。
カウンセリングというのは、クライアントがクライアントの望むHAPPYに近付けるかを一緒に考える作業だと僕は思っています。
子育てというのも、その子のHAPPYを試行錯誤していくということです。
だとしたら(ここでは行動分析の先生方から「死人テスト」を持ち出されて突っ込まれるのもあまり良い気分じゃないので、「片付けない」と書かずに「片付けずに遊ぶ」 と書いたのですが)、なんでもかんでも本に書かれていることや、偉い先生が言ったことをそのまま実行するのではなく、疑問を持ちながら子供と一緒に成長していく、つまり別に「片付けない」ということが『行動』であろうがなかろうが、「片付けることができる」ようになったほうがその子のHAPPYに繋がるなら、どうしたらそうなるかを考えることが大事じゃないだろうか? というのが僕の考えなんですね。
(久野先生とは亡くなられる直前までお世話になりましたが、もし生きておられたら、この文を読んでなんて言われるだろうかなあ…と思います)
健やかな子どもを育てる豊川集会
10月30日(土)に、豊川市内に勤務する小中学校教員と保護者を対象に「健やかな子どもを育てる豊川集会」が開かれました。
演題 「家族や学校で防ぐネット・スマホ・ゲーム依存」
講師 鷲津秀樹(当協会代表)
愛知県小児科医会の会報に寄稿
今年3月に愛知県小児科医会の第56回「子どもの健康を守る会」での講演の講師をする予定でしたが、コロナで中止となった為、替わりに今年度の愛知県小児科医会の会報への寄稿を依頼され、それが配布されました。鷲津代表の内容は「コロナ禍が及ぼす子どもたちの心への影響と、その対処法」です。
豊田市の「こころの健康づくりニュースレター」を執筆
愛知県豊田市では毎年3月を「自殺対策強化月間」とし、春の自殺予防キャンペーンを実施しており、それにに向けて、2021年1月から3月の3か月間、月1回「こころの健康づくりニュースレター」を提供しています。その1月号「劣等感と劣等コンプレックスについて」、2月号「劣等感と劣等コンプレックスについて NO2」、3月号「新しい環境におけるメンタルヘルス」を当協会の鷲津理事が執筆しました。 (画像をクリックすると拡大して読めます)小牧市の学校・カウンセラー連絡協議会の講演を務めました
2020年11月6日に小牧市小中学校の令和2年度学校・カウンセラー連絡協議会で「家族や学校でできるネット・スマホ・ゲームオ依存にならない方法」の講演を務めました。受講されたゲーム依存担当の先生方やスクールカウンセラーの皆様にとって少しでもお役に立てましたら幸いです。名古屋市立小中学校PTA協議会のPTA新聞で掲載されました
ネット・ゲーム依存防止の取り組みが、名古屋市立小中学校PTA協議会が小中学校に配布するPTA新聞で紹介されました。http://pta-nagoya.jp/wp-content/themes/pta-theme/images/pdf/shinbun/440.pdf